先日のル・マン24時間で宙を舞う大クラッシュを喫したトヨタのアンソニー・デイビッドソンが、事故当時の状況を詳しく語っている。
8号車をドライブするデイビッドソンは、3番手を走行中にミュルサンヌの進入でLM-GTEアマクラスの81号車フェラーリ458と接触。1回転しながら宙を舞ったデイビッドソンのトヨタTS030は、激しく路面に叩きつけられ、すぐ先のタイヤバリアに猛スピードで突っ込んだ。
クラッシュの直前、GTEプロクラスのフェラーリとコルベットをパスしていたデイビッドソンは、目前に迫るもう一台のフェラーリもプロクラスのマシンだと思っていたという。
「マシンはずっと左を走っていたので、プロ(クラス)のドライバーだと思っていた」とデイビッドソンは語っている。
「アマチュアステッカーのマシンだと分かったのは、真後ろについた時だった。けど、特に驚くことはなかった。マシンは正当な動きをしていたし、そのまま左に留まると思っていたからね」
「コーナーのエイペックスに向かってブレーキをかけはじめた。そしてコーナーを抜けようとした時にリヤに接触した感覚を覚えたんだ」
「マシンはすぐにスピンして、左に回転し始めた。それから宙に浮き、ひっくり返った。制御不能な飛行機の中にいる感じだったね」
「バリアが間近にあったのは分かっていたから、あのスピードではすぐにそこまで行くだろうと思った。事故のその瞬間はかなり固まった状態だった。マシンが着地して4輪が地面についたときに、背中に大きな衝撃を感じたよ」
「僕は突っ張った状態で目を閉じ、手を離していた。その直後、バリアにクラッシュした」
デイビッドソンは脊柱を2本骨折して全治3カ月の診断を受けたが、3週間もすれば痛みがとれ、動けるようになると語っている。