WEC世界耐久選手権に参戦しているトヨタは27日、フランスのポール・リカール・サーキットで今季のLMP1クラスに投入する新型車両『TS040ハイブリッド』を初公開するとともに、その技術的な詳細を明らかにした。

 WEC参戦3年目となるトヨタは、今季から導入される新たなLMP1車両規定に準拠した新型車両を開発。今年2月にTS040ハイブリッドとの名称を明らかにし、搭載技術の一部も発表していたが、マシンの外観やカラーリングを含むそれ以外の情報に関しては、ここまでほとんど明かされて来なかった。

 そんな中、トヨタはWEC公式テストを控えた27日に、ついにTS040ハイブリッドを公開。カラーリングは昨年同様、ホワイトやブルーを主体に、レッドのラインが施されるようなデザインとなった。

 パワーユニットに関しては、新たに開発した自然吸気のV8ガソリンエンジンを搭載。排気量は昨年までの3.4リッターから3.7リッターに拡大され、520馬力を発生する。また、2月の発表で4輪での回生/力行を行うことが明かされていた新たなハイブリッドシステム(THS-R)は、前後輪で480馬力を発生し、パワーユニット全体の最大出力は1000馬力となった。

 1周あたりに放出するエネルギー量は、4段階(2MJ/4MJ/6MJ/8MJ)のうち3番目に大きい6MJを選択。ハイブリッド・プロジェクト・リーダーの村田久武氏は「エネルギー回生でのハイブリッドシステムを6MJ以上とするのは、重量増によってラップタイプへの影響を受けるというマイナス面があると考えた」と、最大の8MJを選択しなかった理由を説明した。

 エネルギー回生に関しては、昨年までと同様、ブレーキング時の運動エネルギー回生を採用。フロント用のモーター・ジェネレーター・ユニット(MGU)とインバータはアイシンAW製、リア用MGUとインバータはデンソー製で、エネルギーを貯蔵するキャパシタは日清紡製となっている。

 デザインに関しては、新規定に準拠した開発がなされるとともに、空気抵抗の低減が図られた。また、規定によりタイヤが5cm細くなることによるグリップ低下を補うため、ダウンフォース量も増加しているという。

 今年1月21日にポール・リカールでシェイクダウンを実施したTS040ハイブリッドは、その後ヨーロッパで12日間のテストを行い、合計1万8000kmを走破したということだ。

「我々の夢であるル・マン24時間レースでの勝利と世界チャンピオン獲得へ向け、FIA世界選手権で3年目のシーズンを戦うのを非常に楽しみにしています」と語るのはチームを率いる木下美明代表。

「また、ポルシェという新たなライバルを迎え、この2年間戦ってきたアウディと同様に、共に戦うことを楽しみにしています。我々はWECに参戦してきたこの2年間、非常に多くのことを学んでおり、その全てを新しいTS040ハイブリッドに注ぎ込みました」

「TS040ハイブリッドはトヨタがこれまでにサーキットで戦ってきたレーシングカーの中で最も技術的に進んだ車両といえます。我々のレースプログラムから得られたデータや知識、技術の進化が、将来的に素晴らしい市販車両開発に活かされ、トヨタの様々な活動の中で貢献出来ることが非常に重要だと考えています」

 トヨタは28日から始まるWEC公式テストに、2台のTS040ハイブリッドで参加する。

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