欧州日産は13日、2012年のル・マン24時間に“ガレージ56”という次世代車両のための参戦枠で出場するデルタウイングに対し、1.6リッター直噴ターボエンジンを供給し、プロジェクトに参画し“ニッサン-デルタウイング”として参戦すると明らかにした。
このデルタウイングはアメリカのデルタウイング社が開発したレーシングカーで、2012年のインディカー用シャシーの公募に、この写真のマシン同様の戦闘機のようなデザインで名乗りを上げた。その後、デルタウイングではル・マン24時間が2012年からスタートさせる、新時代の自動車技術のための特別枠“ガレージ56”に2シーター化したマシンで参戦を表明し、正式にその枠を勝ち取っていた。
これまでのレーシングカーにはないルックスの車両は、かつてローラに在籍したベン・ボールディがデザイン。ウイングを省き床下でダウンフォースを発生させシンプルさと効率を追求。排気ガスを劇的に減少させるために、車重とドラッグ、さらにマシンを組み上げるコンポーネンツを大幅に減らしル・マンのLMPカーの900kgに対し、475kgという車重を実現している。
プロジェクトには参戦表明時から、ダン・ガーニー率いるオール・アメリカン・レーサーズ(AAR)と、アメリカン・ル・マンを制したハイクロフト・レーシングが参加を表明。ミシュランもマシンに合わせたタイヤを供給することを明らかにしていたが、13日、欧州日産はエンジンをニッサンが供給することを発表し、同時にマシンにも大きくニッサンのロゴが描かれ、“ニッサン-デルタウイング”として参戦することが明らかにされた。
ニッサンはデルタウイング用に、最新の技術で高い効率を実現した1.6リッター4気筒ターボエンジンを供給。“ダイレクト・インジェクション・ガソリン-ターボチャージド(DIG-T)”と名付けられたテクノロジーで300馬力を発生するが、軽量なボディとともに、LMP1クラスとLMP2クラスの間程度のパフォーマンスを発揮する予定だという。
また、ドライバーとして、これまでハイクロフトのドライバーとしてマリーノ・フランキッティが予定されていたが、それに加えて、長年ニッサンのファクトリードライバーとして活躍、今季はスーパーGTに復帰するミハエル・クルムの参加が明らかにされた。
ニッサン-デルタウイングは、今週末に行われるセブリング12時間で最初のデモランを行うという。今季ル・マン24時間のLMP2クラスには多数のニッサンエンジン搭載車が出場するが、さらにニッサンはこのデルタウイングで、環境技術を世界にアピールすることになる。なお、このマシンは特別枠のためゼッケンは0番となり、順位外の扱いとなる。