プレスインフォメーション
2014年12月03日

FIA世界耐久選手権(WEC)、LMP1

ポルシェ919ハイブリッドの初優勝までの道のり

日本. ポルシェAG(本社:ドイツ、シュトゥットガルト 社長:マティアス・ミューラー)は、2014年11月30日(日)に開催されたFIA世界耐久選手権(WEC)最終戦(第8戦)のサンパウロ6時間レース決勝において、ワークスドライバーのロマン・デュマ(フランス)/ニール・ジャニ(スイス)/マルク・リーブ(ドイツ)組が、革新的なル・マン・プロトタイプである919ハイブリッドを駆り、初優勝を飾りました。ポルシェは、16年のブランクを経て、今シーズンから耐久レースのトップカテゴリーに復帰を果たしたばかりでした。

迅速な展開が特徴の開発プロセス
 ポルシェが2011年にスポーツカー世界選手権のトップレベルへの復帰を決断してから、2013年6月12日に919ハイブリッドがポルシェのテストコースに初めて姿を現すまで、2年未満の期間しかありませんでした。ポルシェがこれまで製造した中で最も複雑なレーシングカーは極めて短期間で製造されたのです。

 この間に、新しいオフィスビルとル・マン・プロトタイプ・クラス1(LMP1)のワークショップが、ヴァイザッハのポルシェ開発センターに建設されました。230名のモータースポーツ専門家によるチームが新たに設けられ、そのうち約150名がエンジニアでした。高電圧装置からドライビングシミュレーターに至るまでの機械、素材、およびコンポーネントが調達されました。ポルシェ チームを率いるのがフリッツ・エンツィンガー(LMP1プロジェクトリーダー)、アレクサンダー・ヒッツィンガー(テクニカルディレクター)、アンドレア・ザイドル(チーム監督)の3人でした。

 シルバーストーン(英国)でレースデビューを飾ったチームは、直ぐに初の表彰台に昇りました。5月に開催された第2戦のスパ・フランコルシャン(ベルギー)6時間レースでは、初めてのポールポジションを獲得。ル・マン24時間レースでは、919は合計37周をリードしましたが、ゴール2時間前に2位に後退し、エンジントラブルでリタイアしました。もう一台の919は、修理に手間取った後、総合11位、クラス5位でフィニッシュしています。

 9月に行われたテキサス州オースティン(米国)のレースではトップを快走していましたが、悪天候により再びトラブルに見舞われ勝利を逸しました。また10月の富士(日本)と11月の上海(中国)の6時間レースでは、それぞれ3位でフィニッシュ、さらに上海では2度目のポールポジションを獲得しています。第7戦のバーレーンにおいては、919ハイブリッドにとって3度目のポールポジションを獲得し、初めて2台のドライバー全員が表彰台に並びました。そしてサンパウロの最終戦で遂に初優勝を飾り、表彰台の最上段に立ったのです。さらに、この最終戦の予選では、初めて2台のポルシェ919ハイブリッドがフロントローを独占しました。

先駆的ハイブリッドドライブシステムの飛躍的な進歩
 2014年FIA世界耐久選手権のグリッドには、ポルシェ919ハイブリッドほど効率的で複雑なプロトタイプは他には見当たりませんでした。このレーシングカーは、ポルシェが開発した未来の持続可能なドライブシステムの先駆的なテクノロジーを備えます。1周あたりのエネルギー量を規定した効率性に関する世界耐久選手権の新しいレギュレーションは、ポルシェの復帰を促す決定的な技術的挑戦となりました。そのため、適切なソリューションのポルシェ社内における開発と実践は当然の結論といえました。

 ポルシェ919ハイブリッドのすべてが、最高の性能による究極の効率性の達成に向けられました。そこには、エアロダイナミクスと軽量構造のための素材選びも含まれます。しかし、最も注目に値する側面が、非常にコンパクトな2リッター4気筒ターボエンジンと2つのエネルギー回生システムによるパワートレインのコンセプトです。

 ポルシェが導入するLMP1車のドライブシステムは、ハイブリッドシステムである必要がありましたが、「システム」については明確ではありませんでした。気筒数、総排気量、ディーゼルかガソリンかは、すべてチームに一任されていました。制限要因は、燃料の量とストレージシステムから引き出すことのできるエレクトリックパワーの、両方に適用される1周あたりに使用できる電力だけでした。

 919ハイブリッドのストレージシステムは、2つのシステムからパワー供給される水冷式リチウムイオンバッテリーセルで構成されています。1つめは、制動中にフロントアクスルで運動エネルギーが電流に変換されるシステムで、2つめは、排気エネルギーを電気として回生するシステムです。熱力学的な排気エネルギーのこのような回生は、スポーツカー世界選手権においてはユニークな存在です。このシステムでは、追加されたタービンジェネレーターが、ウェストゲートバルブの実質的な代わりをします。ポルシェは、余分な排気ガスを利用して電気を発生するジェネレーターとなる2番目のタービンを駆動します。こうして以前は失われていたエネルギーが有効に利用されます。排気ガスのエネルギー回生によって、919ハイブリッドは、制動時だけでなく加速時にもエネルギーを回生する唯一のマシンとなっています。

 このようにしてプロトタイプの燃料消費量を前年比30%削減するFIAレギュレーションの目標が達成されたのです。919ハイブリッドは、初優勝したレースで、ラップリーダーとして2,323kmを走行しました。2台のプロトタイプは、全8戦において合計23,232kmを走破し、この過程で約3,592kWhの電気エネルギーを発生、使用しました。これは、平均的なドイツ家庭に必要な電気量の1年分を上回る、373日分に相当します。

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