スーパーGT、フォーミュラ・ニッポンで活躍するレーシングドライバー、石浦宏明。自他共に認める“レースマニア”、“レーシングカーマニア”という石浦だが、先日GAZOO Racingの応援のためにニュルブルクリンク24時間を訪問。気になるニュル出場マシンを評価してもらった。第2回目の今回は、ニュル優勝“常連”のマンタイ・ポルシェ、そしてスバル・インプレッサWRX STIだ。
●その3 ゼッケン1番 ポルシェ911 GT3R(マンタイ・レーシング)編
(1)で紹介したアウディ、そしてBMW勢が今季“ターゲット”としていたのが、ニュルブルクリンク24時間では絶対的な強さをみせていたマンタイ・レーシングのポルシェ911 GT3R。今季はスーパーGTにも後半戦にGT3Rが登場するとあって、注目度の高い車種でもあります。
──で、どうですか石浦さん?
「この後ろから見た迫力は、出場車の中ではトップだと思います。『どんだけ幅あるんだ』っていう風に見えるじゃないですか。さらに、そこから絞られたくびれが……。ポルシェはノーマルでもくびれていますけど、それがより強調されていて……」
くびれ、お好きなようですね。
「しかもよく見ると、ノーマルと全然形が違いますよね。えぐれていたり、細かいダクトが付いていたり。それに、クルマが何と言ってもキレイですね。やっばり強いチームっていう感じがしますね〜。このリヤウィングも3Dじゃないですか。とにかく全ての仕上がりがトップチームっていう感じですよ。ディフューザーも効きそうですし」
すっかり美しいポルシェに感服の様子の石浦。実は走りもチェック済みだそうで、王者マンタイの走りをこう語ってくれた。
「僕、1コーナーで走りを見たんですよ。ポルシェ勢の中でもダントツで、雨の中、ブレーキングで飛び込んでいけるんですよ。だから、相当スタビリティーのレベルが高いクルマなんだと思いますね。もう、この常勝チームのカラーリング(グリーン)を見ただけで、強そうに見えますよね。ここで走ると強そうに見えるんですよね」
スーパーGT第3戦完勝の石浦からのお墨付き(!?)でレース序盤トップを快走したマンタイ・ポルシェだが、今季はリタイア……来年の巻き返しに期待でしょ〜か。
●その4 スバル・インプレッサWRX STI
“ニュルブルクリンク・チャレンジャー”編
続いては、初の日本車のご紹介。清水和夫/吉田寿博/マルセル・エンゲルス/カルロ・バン・ダムのトリオが駆ったスバル・インプレッサWRX STIを石浦がチェックします。どうですか石浦さん?
「まず、このクルマはカルロに聞いてみてください(笑)」
……いきなり話を振られたのは、全日本F3時代の2007年、トムスでチームメイトだったバン・ダム。友情出演をお願いします(笑)。
「スタイリングはそこそこ……」
ちょっとちょっとバン・ダムさん。石浦さんも爆笑してる場合じゃないでしょ!
「いやいやいや冗談。すごくいいと思うけど、それ以上にいいのはAWDっていうことだね。だから、ニュルでは雨が降った時に、すごくグリップするんだよ。車体のデザインの中で気に入っているのはボンネットだね。すごく攻撃的でカッコいいと思わない?」……バン・ダムさんありがとうございます。
「確かに、このラリーカーのような大胆なボンネットは、他のクルマにはないですよね」と石浦もボンネットに高評価。
「このクルマの形から言うとラリーっぽいので、普通はサーキットに似合わないじゃないですか。でも、ニュルに来ると自然な感じがしますよね。しかも、コンディションを選ばないこの“カタマリ感”がいいじゃないですか。何年も出続けているからこそ、インプレッサがニュルを走るっていうのが自然なんでしょうね」
「あとは、カナードとかなくて、シンプルですよね。よくよく見るとアウトレットとか、ノーマルとはだいぶ違います。結構、チン(車体前方下部の部分ですね)も長いですよね。これでリヤのハッチバックとバランスが取れているんでしょう。あんまり前ばっかりあってもいけないのかなっていう感じですね」
なるほど。インプレッサはバン・ダムの力走もあってクラス4位/総合28位でフィニッシュ! 質実剛健に走りきりました。
さて、次回はトム・コロネルや菊地靖など日本ゆかりのドライバーが走った#46トーヨーポルシェ、そしてミハエル・クルムがドライブしたニッサン・フェアレディ370Zをお届けしちゃいます。日本ではライバルメーカーのクルマですが……どうですか石浦さん?