WEC世界耐久選手権第7戦富士は14日、チェッカーを迎え、レース後半の大半をドライブした中嶋一貴駆る7号車トヨタTS030ハイブリッドがトップでチェッカー! 地元富士で嬉しい優勝を飾った。また、LMP2クラスでは中野信治がドライブしたADRデルタのオレカ・ニッサンが優勝を飾っている。
7号車トヨタTS030ハイブリッドと1号車アウディR18 e-トロン・クワトロとのマッチレースで迎えたWEC第7戦富士の中盤戦。1回分多いピット回数の分のギャップを広げたい7号車トヨタだったが、序盤は思うようなギャップを広げられず。リードこそしていたものの、1号車アウディと競り合う展開で中盤戦を迎えた。
しかし、快調なペースで7号車とのギャップを削っていた1号車アウディのブノワ・トレルイエだったが、124周目のダンロップコーナーで97号車アストンマーチン・バンテージを抜こうとした際に接触。左側のカウルを壊してしまい、1周回った後に補修のためピットイン。さらにこの接触で飛散した1号車アウディのパーツを回収するため、セーフティカー導入。SC導入の直前にピットに入り、ニコラス・ラピエールから中嶋一貴に交代していた7号車トヨタは、SCの直後にポジションをとったこともあり、解除後クリアラップを確保。集団の中に入る形になった1号車に対し、一貴が一気に差を広げにかかった。
20秒以上にギャップが広がったが、まだ7号車トヨタの優勝のためにはリードが足りない。しかし、アストンマーチンとの接触していた1号車には、この接触でストップ&ゴーペナルティが課せられてしまう。これで1号車は3番手を走っていた2号車アウディにも先行されてしまうが、トレルイエから交代していたマルセル・ファスラーが再び2号車との差をつめ、ピットに入り再びアンドレ・ロッテラーと交代。ピットアウトした直後にロッテラーが2号車をかわし、2番手を取り戻した。
そんな中、ファステストラップを叩きだし一気にアウディ勢とのギャップを築いたのは7号車トヨタの一貴。途中3番手の2号車に対し1分以上のギャップを築くも、2スティントめにはややペースダウン。フレッシュタイヤを継続して装着し、快調なペースで飛ばすロッテラーが少しずつギャップを削り始めた。
1分以上のギャップを築いていたものの、最後のピットストップに向け安泰とは言えない状況だったトヨタは、188周終わりのピットストップで一貴を3スティント目に向かわせる。3人のドライバーの中でも最もペースがいい一貴だが、最後の給油のみのスプラッシュを考えると、4スティント近くという長丁場を走ることとなった。一方、少しずつギャップを削っていった1号車アウディは、最後のピットストップでこのレースで初めてタイヤ交換を行わずピット作業時間を短縮。トヨタに揺さぶりをかけた。
チェッカーに向けスパートをかける一貴はリードを46秒まで広げ、チェッカーまで残り18分、219周を終えたところでピットへ! ゴールまでの必要量を給油した7号車は、一貴のステアリングもそのままに、1号車アウディの5秒前方でピットアウト! 2台のマッチレースが始まった。
一貴駆る7号車トヨタ、ロッテラー駆る1号車アウディ。残り15分、夕暮れの富士スピードウェイは緊迫の度合いを深めていく。しかし、一貴は着実にロッテラーとの差を広げ、迎えた17時、トップでチェッカー! ピット、そしてスタンドのトヨタ応援席が歓喜に沸いた。2位は1号車アウディ、3位は2号車アウディという結果に。ガソリンエンジン勢の最上位はレベリオン・レーシングの12号車ローラB12/60・トヨタが入り、22号車HPD ARX-03aが5位となった。佐藤琢磨がドライブした15号車OAKペスカローロ・ホンダは総合17位でチェッカーを受けている。
LMP2クラスは、着実はペースで6時間を走りきったADRデルタのジョン・マーティン/トー・グレイブス/中野信治組オレカ・ニッサンが優勝。自らのスティントで快走をみせた中野信治が大仕事を果たし、母国で見事な優勝を遂げることとなった。2位はスターワークス・モータースポーツのHPD ARX-03bが入り、LMP2クラスチャンピオンを決めることとなった。井原慶子がドライブした29号車ローラ・ニッサンはクラス6位でチェッカーを受けた。
LM-GTEプロクラスはマルク・リエブ/リチャード・リエツ組77号車ポルシェ911 GT3 RSRが51号車フェラーリを下し優勝。LM-GTEアマクラスはパトリック・ボーンハウザー/ジュリアン・キャナル/ペドロ・ラミー組シボレー・コルベットC6 ZR-1が優勝を飾った。小林賢二がドライブした55号車ポルシェも完走を果たしている。