12日から富士スピードウェイで開幕するWEC世界耐久選手権第7戦・富士6時間レースに向けて、OAKレーシングのペスカローロ・HPDホンダをドライブすることになった佐藤琢磨は、「新しい挑戦をする準備は整っており、熱心な日本のファンに会えることを楽しみにしています」と語っている。
ひさびさに日本で開催されるル・マン規定の耐久レース、WEC第7戦富士。アウディやトヨタのハイブリッドプロトの参戦はもちろんだが、ドライバー面での期待の存在と言えるのが中嶋一貴、そして佐藤琢磨という日本人ドライバーたちだ。
9月28日に、フランスのOAKレーシングからの参戦が決まった琢磨は、さっそくマニクールで新たにHPD-ホンダAR6-LM・V8エンジンを搭載したOAKペスカローロをシェイクダウン。テストを成功裏に収めた。
「マニクールでのシェイクダウンテストを成功裏に終え、OAKレーシングとともに日本のレースに挑むことを楽しみにしています。限られた時間のなかで、チームは最大限の準備を行ってくれたと信じていますし、チームの働き振りにはとてもポジティブな印象を持っています」と琢磨。
「エンジニアによれば、マシンはテストで素晴らしいパフォーマンスを発揮し、そのことに満足しているようなので、富士でもコンペティティブになれると信じています。ファンにとってもWECにとっても、富士のレースはエキサイティングで興味深いものとなるでしょう」
琢磨にとって、富士スピードウェイでレースを戦うのは2007年のF1以来。「富士は、世界中のパーマネントサーキットの中でも最も長いストレートを持っているだけでなく、難しいテクニカルセクションもあるので、そのふたつを上手にバランスさせるセットアップが求められます」と琢磨も富士の難しさを語る。
「この点、マニクールでテストした空力パッケージが良好なスピードをもたらしてくれることを期待しています。新しい挑戦をする準備は整っており、チームとともに仕事ができること、そして熱心な日本のファンに会えることを楽しみにしています」
今回のWEC富士戦では、琢磨がドライブするOAKペスカローロ・HPDはアウディ、トヨタのワークス3台ほどのペースは望めないものの、「ストラッカ、JRM、レベリオンといったチームを相手にどのようなパフォーマンスを発揮できるのか、少し気をもんでいます。とはいえ、マニクールのテストは順調にいき、いくつかの問題点の原因を突き止めることができました。これだけで安心するわけにはいきませんが、大変なストレスからいくぶん解放されたのは事実です!」とチーム代表を務めるセバスチャン・フィリップが語るとおり、ガソリンエンジン勢が直接のライバルとなる。
「琢磨が私たちのチームからスポーツ・プロトタイプカーレースにデビューすることを誇りに思います」とフィリップ。これまでフォーミュラのレースを中心に戦ってきた琢磨が、初めてのスポーツカーでどういった戦いをみせるのか。見逃せないレースとなりそうだ。