BMWモータースポーツ代表のジェンス・マルカルトは、アメリカのSPEED.comのインタビューに応え、現在アメリカン・ル・マンシリーズ(ALMS)で活躍しているBMW M3 GTに代わって、BMW Z4 GT3をベースにしたGTE車両の開発を検討していると明らかにした。

 BMW M3 GTは、スポーツカー耐久レース用に2009年から参戦を始めたLM-GTEクラス車両。2010年にはル・マン24時間、ニュルブルクリンク24時間にも参戦。アメリカではレイホール-レターマン・ラニガンの手で、ヨーロッパではシュニッツァーによりル・マン規定のレースを中心に活躍していた。

 ただ、現在のM3の状況についてマルカルトは「我々が今後どれだけリソースをつぎ込んでも、今後さらに速くなる余地はあのクルマにはそれほど残っていない。Z4に存在する可能性を見れば、進化ための論理的な説明を得られるはずだ。そのために我々は働かなければならない」と語り、開発され尽くしているBMW M3 GTに対し、Z4を開発していく可能性を示した。

 Z4のGTEバージョンを製作するにあたりマルカルトは、「ベースはZ4 GT3でなければならないだろう」と語る。BMW Z4 GT3は2010年にデビューしてから二度のモデルチェンジを経て、ヨーロッパ、日本、ブラジルなどで30台以上が活躍する。昨年のスーパーGTでの活躍、ニュルブルクリンクでの活躍など、高いポテンシャルを示している。

 すでにマルカルトはACO、およびALMSを統括するIMSAとの間で話し合いをもっていると語るが、Z4 GT3については4.4リッターV8エンジンを搭載している。ACOの規則では市販車のZ4と同じエンジン構成が求められているが、市販のZ4では直列4気筒、および直列6気筒のモデルしか存在していない。

 ただ、来季ALMSにデビューが決まっているSRTバイバーGTS-Rは、GTEカテゴリーの制限値である5.5リッターエンジンの範囲を超えた8リッターV10エンジンを採用するなど、例外も出ていることをマルカルトは指摘。「我々とオーガナイザーの間で、いい解決を探りたい。現在の状況では、新車を一から作る状況にはない」としている。

 ヨーロッパでのBMWモータースポーツの活動の中心はDTMだと断言するマルカルトだが、GTE仕様のZ4のホモロゲーションが下りれば、ALMSはもちろんル・マン24時間を含むWEC、さらにBMWが重視するアジア市場におけるアジアン・ル・マン・シリーズでの活躍を期待することができる。DTMでのワークス活動のほかに、カスタマーレーシングの充実を図りたい考えだろう。

 毎年BMWモータースポーツでは10月に次年度の活動が決定し、年度末のアワード“スポーツポカール”の場で発表となるのが恒例だ。近年、GTEクラスの車両バリエーションが少なくなっているが、そこに“BMW Z4 GTE”が登場することになるのだろうか?

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