F1第6戦モナコGPの決勝は、レッドブルのマーク・ウエーバーが2戦連続のポール・トゥ・ウインを飾り、伝統のモナコ初優勝を決めた。2位はセバスチャン・ベッテルでレッドブルが1-2。3位にはロバート・クビカ(ルノー)が入った。BMWザウバーの小林可夢偉はリタイアに終わっている。
決勝日のモナコは一部で雲が広がったものの概ね晴れ。スタート時刻となる午後2時(現地時間)時点の気温は22度、路面温度は39度というコンディション。グリッドは予選トップ10のドライバーが柔らかいコンパウンドのスーパーソフトタイヤを装着している。なお予選に出走できなかったフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)はピットレーンからのスタートとなっている。
レースは、注目のスタートでフロントロウのクビカが出遅れ、ベッテルが2番手に浮上、好スタートを切ったウエーバーと共にレッドブル勢が早くも1-2態勢を築いた。
しかし後方では11番手スタートのニコ・ヒュルケンベルグ(ウイリアムズ)が1周目のトンネル内で単独クラッシュを喫し、これによってセーフティカーが出動する。そのまま3周目に入ると、今度は11番手に順位を落としていたジェンソン・バトン(マクラーレン)がセーフティカーラン中にもかかわらずマシンから白煙を吐いてストップするなど、レースは波乱の幕開けとなった。
7周目にレースが再開されると、トップのウエーバーがファステストラップを連発して2番手ベッテル以下を引き離していき、14周終了時点でベッテルには5秒のギャップを築く。3番手以下はクビカ、フェリペ・マッサ(フェラーリ)、ルイス・ハミルトン(マクラーレン)と続いており、スタートでポジションを上げたルーベンス・バリチェロ(ウイリアムズ)が6番手を走行。7番手ミハエル・シューマッハー(メルセデスGP)以下はバリチェロに前をふさがれる形で先頭集団から遅れるかたちとなった。
レースは18周目のハミルトンを皮切りに、このレース唯一のタイヤ交換が始まっていく。3番手クビカはここでの逆転を狙い2番手ベッテルより1周前の21周目でピットインするが、レッドブルチームのピット作業は素早く逆転はならない。一方、首位のウエーバーは23周目にピットイン、ミディアムタイヤを装着すると再びレースリーダーとしてコースに復帰を果たした。
28周目、全車がピット作業を終えた時点の順位はウエーバー、ベッテル、クビカ。4番手以下にはマッサ、ハミルトン、アロンソ、シューマッハー、ニコ・ロズベルグ(メルセデスGP)と続いた。
序盤8番手を走っていたロズベルグは28周目までピットインを遅らせる作戦をとり、その間のファステストラップ連発で順位アップを期待させたが、ピットイン前の数周で首位ウエーバーに前をふさがれてしまい、再度7番手のシューマッハーに先行を許す。一方でピットレーンスタートのアロンソは最初のセーフティカー出動時にすでにピットインを済ませていたことが幸いし、中盤は6番手を走行する。
快調にトップを走るウエーバーは30周を終え2番手ベッテルに11秒の差を築くと、その後はレースを完全にコントロール。31周目にバリチェロがボー・リバージュで単独クラッシュを喫して、このレース2回目のセーフティカーが出動するが、レース再開後には再びベッテルを引き離す力強い走りを披露。さらに43周目、コース上のトラブルで3回目となるセーフティカーが出動するも、ウエーバーはここでもベッテル以下を置き去りしていった。
レースは74周目にラスカスでヤルノ・トゥルーリのロータスがカルン・チャンドック(HRT)のマシンに乗り上げるクラッシュが起き、なんと4回目となるセーフティカーが入った。このセーフティカーは最終ラップまで隊列を先導したが、最終コーナーを前にコースから去り、レースは無事ウエーバーがトップでチェッカーを受けた。ウエーバーはモナコ初勝利。
アロンソは最後のリスタートの際にシューマッハーに抜かれる失態を演じ7位でフィニッシュ。ただこのオーバーテイクについてはレース後に審議にかけられることになっている。
完走は15台。小林可夢偉は28周目にマシンを止め、リタイアという結果に終わった。