MORIZO Challenge Cup 第7戦 MSCCラリー in 福島伊達 2026

初開催の福島・伊達で、米林慶晃が最終SS逆転優勝
雨のターマックで最上佳樹との僅差の首位争いを制す

 9月25日(金)~27日(日)にかけて、2026年シーズン全日本ラリー選手権(JRC)第7戦『MSCCラリー in 福島伊達2026』が、福島県伊達市を拠点に開催されました。JN-3クラス内で展開されるMORIZO Challenge Cup(MCC)では、KTMS&ヌタハララリースクールから参戦する、米林慶晃選手/菅野総一郎選手が勝利を飾りました。

 今年で3年目を迎えるMCCは、若手ドライバーの育成とラリー競技の活性化を目的に、2024年からスタート。全日本ラリー選手権JN-3クラスの車両規定をベースに、改造範囲を狭めたGRヤリス/GRヤリスDATで腕を競い合う取り組みとして大きな注目を集めてきました。対象となるのは25歳以下(一部条件付きで28歳以下)の若手ドライバーで、2026年シーズンは全日本ラリー選手権全9戦において開催されます。また、全日本ラリー選手権とは別にMCC独自のポイントが付与され、1位~3位までの上位入賞者、最多SSトップタイム賞、最優秀女性ドライバー賞が表彰されます。

 第5戦ラリーカムイ、第6戦ラリー北海道と、北海道を舞台に行われたグラベル(未舗装)ラリー2戦を経て、全日本ラリー選手権は6月の第4戦久万高原ラリー以来となる、ターマック(舗装)ラリーの第7戦MSCCラリー in 福島伊達を迎えました。初開催となる今回のラリーは、伊達市の保原総合公園にサービスパークを置き、周辺のスペシャルステージ(SS・タイムアタック区間)で速さを競います。すべてのクルーにとって未知の舗装路を走る今回は、路面やコンディションにいかに対応できるかが鍵になります。

モリゾウチャレンジカップ 2026全日本ラリー第7戦福島伊達 ラリーレポート
久々の舗装路ラリーに13組が出走。SSごとに順位が入れ替わる接戦が繰り広げられた

 久々のターマックラリーとなる今回、ポイントリーダーの奥井優介選手、前戦ラリー北海道でMCC初勝利を挙げた三枝聖弥選手、前戦で最優秀女性ドライバー賞の年間首位を確定させた平川真子選手をはじめ、長尾綱也選手、米林慶晃選手、最上佳樹選手、及川紗利亜選手、松原周勢選手、山口航平選手、兼松由奈選手、伊藤はづき選手、今橋彩佳選手、HARU選手という13名が出走。各選手は大会前、埼玉県本庄市で実施されたMCCターマックトレーニングにも参加し、舗装路でのドライビングやペースノート、マシンセットアップを確認して本番に臨みました。

 降雨によるウエットコンディションで始まった初日。SS1では米林選手がトップタイムを記録し、好スタートを切ります。このSSでは、平川選手がスタート直後にマシントラブルによりストップ。苦しい立ち上がりとなりました。SS2でトップタイムを記録した最上選手が、米林選手をかわして0.4秒差ながらもトップに立ちました。SS3は最上選手、サービスを挟んだSS4は米林選手がトップタイムを奪い返し、両者が一歩も譲らない僅差の首位争いを繰り広げます。

 最上選手は路面が渇きつつある難しいコンディションとなったSS5で、米林選手に5.3秒差をつける3度目のトップタイム。SS6は米林選手が0.8秒差で取り返したものの、最終的に最上選手が米林選手に5.2秒のリードをもって初日を首位で折り返しました。26.8秒差の3番手に三枝選手、44.6秒差の4番手には奥井選手が続きます。

 最終日、この日も朝から強い雨が降り、ふたたびウエットコンディションとなりました。首位の最上選手を僅差で追う米林選手は、SS7とSS8で連続トップタイムをマーク。やながわ希望の森公園内のSS9でも最上選手を上回り、差を2.3秒にまで縮めます。一方、SS9では4番手につけていた奥井選手がクラッシュし、ラリー続行を断念。クラス3番手に三枝選手、4番手に松原選手が浮上しました。

 路面が乾きつつある午後のセクション、SS10は三枝選手に続く2番手タイムをマークした最上選手が、米林選手に対するリードを3.7秒にまで広げます。SS11は米林選手が最上選手に1.6秒差のトップタイムを刻み、最終SSを前にその差はわずか2.1秒に縮まります。迎えたSS12、米林選手は最上選手を4.1秒も上回るトップタイムで、ついに逆転。最終的にわずか2.0秒差で勝利し、第2戦佐賀以来となるシーズン2勝目を飾りました。44.5秒差の3位に三枝選手、1分43秒6差の4位に松原選手が入りました。最優秀女性ドライバー賞は、地元福島県いわき市出身の今橋彩佳選手が獲得。この結果、米林選手はポイントランキングで奥井選手と長尾選手を逆転し、ランキング首位に立ちました。

<次戦は飛騨高山。シーズンはいよいよ大詰めへ>

 第8戦は、2026年10月16日(金)~18日(日)に岐阜県高山市を拠点として行われる『第53回M.C.S.C.ラリーハイランドマスターズ2026 supported by カヤバ』です。高山市郊外の山岳ターマック林道を中心に、ツイスティなSSが舞台となります。毎年天候が崩れることが多く、濡れた落ち葉で滑りやすい部分もあるなど、ドライバーには高い対応力が求められます。シーズンもいよいよ大詰め、秋の飛騨高山を駆け抜ける若手ドライバーたちの戦いにぜひご注目ください。

モリゾウチャレンジカップ 2026全日本ラリー第7戦福島伊達 ラリーレポート
女性ドライバー同士の接戦を制した今橋彩佳/槻島もも組。今橋は地元福島県いわき市出身

■全日本ラリー選手権第7戦福島伊達
MORIZO Challenge Cup最終結果

Pos.Driver&Co-DriverCarTime/Gap
1米林慶晃/菅野総一郎KTMS NRS GRヤリス1h02’01.9
2最上佳樹/小藤桂一FIT-EASY ZEAL GRYARIS0’02.0
3三枝聖弥/木村裕介IMSF DL GRヤリス 初号機0’44.5
4松原周勢/市橋真由子RECARO NRS GRヤリス1’43.6
5山口航平/春日美知子AQTEC-Wolf DL GR Yaris2’33.4
6長尾綱也/尼子祥一DL WPMS GRヤリス3’24.5
7今橋彩佳/槻島ももCUSCO tomica GR YARIS3’45.8
8兼松由奈/坂井智幸大東建託 ロッソモデロ GRヤリスDAT3’47.5
9HARU/宮本大輝CUSCO WinmaX DUNLOP GRヤリス4’45.4
10伊藤はづき/鶴巻駿介WinmaX CUSCO DL GR Yaris8’11.2
R平川真子/冨本諒TGR-WRJ GR YARIS DAT–
R奥井優介/藤田めぐみCUSCO GRG水戸けやき台 DL WMヤリス–
R及川紗利亜/山本磨美DL WPMS GRヤリスDAT)–

■米林慶晃(MCC1位/最多SSトップタイム賞)
「すごく悔しさを感じたラリー北海道を経て、ドライビングだけでなく、メンタル面での反省点も活かして、勝ち切ることができました。最終SSは得意とする高速セクションで攻めることができましたし、それまでの展開で最上選手にプレッシャーをかけ続けられたことが勝因だと思います。本庄で行われたMCCトレーニングでは、バリエーションに富んだ林道で、コ・ドライバーとのコンビネーションやペースノートの精度を高めることに集中しました。それが今回のラリーでも自分を助けてくれました」

■最上佳樹(MCC2位)
「最終日のSS9でマシンをヒットさせてしまい、チームに直していただきながら、走り続けることができました。ただ、最後のSS12は攻め切ることができず、米林選手に逆転されてしまいました。ハイスピードセクションには苦手意識もあり、走行中に恐怖を感じたりする場面もあったことが敗因です。この悔しさを糧に、マシンをしっかり直して、次のラリーに挑みます」

■三枝聖弥(MCC3位)
初日の大きなミスが最後まで響いてしまいました。最終日になんとか挽回しようと頑張りましたが、結局気負いすぎてしまいました。頑張りすぎたことで、タイムロスする場面が多かったことを反省しています。特にウエットコンディションでは、ラリー前に行われたMCCトレーニングの効果を感じました。ただ、メンタル面で自分をコントロールできなかったことが、改めてもったいなかったと思います」

■松原周勢(MCC4位)
「ラリー全体をとおして、すごく楽しかったですし、成長を感じられる一戦になりました。特にコンディションが荒れた舗装路において、これまでは姿勢変化を苦手に感じていましたが、今回は積極的にマシンを動かして走ることができ、それが大きな成果になりました。この感覚を体に染み込ませられましたが、その先に関しては、まだイメージの一端が見えたレベルです。チームメイトの米林選手の背中を追いかけつつ、これからも頑張っていきたいです」

■山口航平(MCC5位)
「今回のコースやコンディションに、クルマのセッティングがあまり合っていませんでした。最初から最後までいろいろと試してみましたが、なかなか車両の感覚を掴むことができず、苦しいラリーになりました。路面コンディションに関しては、予想の範囲内だったんですが、やはりドライビングとセッティングが、今後に向けた課題だと痛感しています」

■長尾綱也(MCC6位)
「苦しいラリーでした。セットアップを含めたパッケージングに関しても、マシンの状態を維持することに関しても、今回は難しさを感じました。自分はいつもどおりの運転をしているのに『なぜタイムが出ないのか』と、ラリー中は悩み続けることになりました。それでも、今の状況のなかでは最善を尽くすことができたと、納得しています」

■今橋彩佳(MCC7位/最優秀女性ドライバー賞)
「最終日の午前中はマージンを取りつつ、とても良いフィーリングで走れました。ただ、SS11で安全に走りすぎたため、かなりタイム差を詰められてしまったことは反省しています。最終SSは兼松選手に0.4秒という僅差で挑み、これまで経験したことのない状況で走ることになりました。とにかくアクセルをしっかり踏んでいこうと頑張って、ミスはありましたけど、勝ち切ることができました。ただ、ライバルのトラブルやミスがあったからこそ勝てたとも考えているので、今回の勝利を糧に、さらに成長したいです」

■兼松由奈(MCC8位)
「セッティングやドライビングに課題があって、なかなかペースを上げることができませんでした。それでも楽しく走ることができたことは良かったです。自分の納得のいくペースで走れなかったため、クルマに対してドライビングを合わせていくことも含めて、考えるべきことが多いと感じています。今回、リエゾンの沿道などで、たくさんの子どもたちから応援していただきました。素晴らしい雰囲気でしたし、自分としても本当にうれしかったです」

■HARU(MCC9位)
「楽しんで走ることができましたが、自分としては、もう少しタイムを縮めたかったです。今年は開幕戦の三河湾でラリーの洗礼を受けたことで、そこからおっかなびっくりで走る場面が多かったと感じています。それでも、今回は何も恐れず、自分のドライビングに集中できた点は、大きな収穫になりました。今シーズンの締めくくりとして、悔いの残らないラリーになりました」

■伊藤はづき(MCC10位)
「いろいろとトラブルが出たことで、思うような状態で走ることができませんでした。その中でチームの皆さんに様々なトライをしていただいて、最後まで走り切ることができました。これまで鬼門だったウエットコンディションや苦手な2車線のコースなどを走りましたが、マシンが不調を抱えるなかで、いくつかドライビングを改善することができました。その点に関しては、自分としてもステップアップできたと考えています」

■平川真子(リタイア)
「初日はSS1でトラブルがあり、最終日はSS11の中盤手前でトラブルが発生し、リタイアすることになりました。それまではフィーリングも良かったので、そのまま走り切っていたら、SS11のリザルトでは上の方には入れたと思っています。MCCトレーニングでは、WRCチャレンジプログラムの山本雄紀選手からペースノートに関して重点的にアドバイスをいただき、大きな学びになりました。完走はできませんでしたが、得るものの多いラリーでした」

■奥井優介(リタイア)
「SS9でオーバースピードのまま苔に乗ってしまって、立木にヒットしてしまいました。相当滑りやすい状況でしたが、自分でも無理をしていたと反省しています。その時点で前後のタイム差が離れていて、順位を競るような状況ではなかったんですが、最多SSトップタイム賞を狙って無理をしてしまいました。本当にラリーは、ちょっとしたミスで危険な状況になってしまうと痛感しています」

■及川紗利亜(リタイア)
「SS8で、オーバースピードからブレーキングでタイヤがロックし、減速しながらガードレールにヒットしてしまいました。ラリー初日はペースノートにもすごく自信があって、満足のいくリーディングだったので、クラッシュするまでは自信を持って良い走りができていたと思っています。東北出身なので、福島のラウンドでは女性クラス1位や、MCC全体でも真ん中くらいの順位を狙いたかったので、悔しいですね。

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