一方、エバンスは初日の午後にヌービルがいきなり速くなったことを警戒し、路面がダーティな午後のステージでのハンドリングを何とか向上させようと、2日目に向けてセッティングを大きく変更。

 グラベル対策という点ではたしかに効果も見られたが、副作用としてクルマ全体のいいバランスが崩れ、むしろ自信を持ってアタックすることができなくなってしまった。その結果、2番手タイムを刻むことすら難しくなり、首位ヌービルとの差はどんどんと広がっていった。

 エバンスにとって救いだったのは、24ポイント差で選手権をリードするオジエのペースがエバンス以上に上がらなかったことだ。オジエは初日、ヌービルにもエバンスにもついていけず、総合3番手につけるのがやっとだった。
 
 土曜日にはセットアップを大きく変更して臨んだところ、午後のステージでは2本のベストタイムを記録するなど、改善に成功。「ようやくいいセットップを見つけることができた。これなら最終日は行ける」と意気込んでいたが、直後の市街地ステージでまさかのエンスト。これは完全にドライバーのミスだったようだが、そこで大きくタイムを失い、最終日は総合3位の座までヒュンダイのダニ・ソルド(ヒュンダイi20クーペWRC)に奪われてしまった。

 ここ数戦、オジエはライバルに純粋な速さで負けている。それは有利な出走順の今回も同様だった。タイトルを最優先した保守的なアプローチによる部分もあるだろうが、じつは今回のエンストのようなミスや不注意も今年はかなり多い。

 最終戦『ラリー・モンツァ』を前に、選手権2位のエバンスには17ポイントのリードを持っているが、最後まで集中力をしっかり保たなければ逆転で通算8度目のタイトルを逃すことも考えられる。そう、昨年エバンスがオジエに対する14ポイント差の選手権リードをワンミスで失い、涙を飲んだように。

オジエは最終日最初のSS14でソルドと僅差の4番手にダウン。そこから3番手に戻ることはなかった。オジエは11月7日バーレーンでのWECルーキーテストに参加予定。それに向けて、TGR-Eでシート合わせとシミュレーターテストを行なった
オジエは最終日最初のSS14でソルドと僅差の4番手にダウン。そこから3番手に戻ることはなかった。オジエは11月7日バーレーンでのWECルーキーテストに参加予定。それに向けて、TGR-Eでシート合わせとシミュレーターテストを行なった
モンツァでのエバンスは優勝25点+パワーステージベスト5点の計30点獲得がほぼマスト
モンツァでのエバンスは優勝25点+パワーステージベスト5点の計30点獲得がほぼマスト
auto sport No.1563
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※この記事は本誌『オートスポーツ』No.1563(2021年10月29日発売号)からの転載です。

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