日曜のレース2に先んじて行われた予選2では、14号車フェラーリ296 GT3(エミル・フレイ・レーシング)が最速タイムを記録するも、黄旗区間での減速が充分でなかったとして3グリッド降格ペナルティを受けて4番手に。2番手タイムをマークした159号車マクラーレン720S GT3エボ(ガレージ59)も同様の違反によってポジションを下げた結果、マキシム・マルタン/バレンティーノ・ロッシ組46号車BMWがポールシッターとなった。
スプリントカップにおけるタイトル争いの中心にいる88号車メルセデスは8番手、レース1を制した40号車アウディが直後の9番手に続くスターティンググリッドとなり、ドラマの発生を予感させる。果たしてそれは現実のものに……。
前日と同じくダンプ路面で迎えたスタート2のオープニングで88号車がスピン。99号車アウディR8 LMS GT3エボII(トレゾア・アテンプト・レーシング)に後方からヒットされた2冠チームのメルセデスAMGは後続車とも接触しリヤバンパーを失っただけでなく、左フロントサスペンションにダメージを受けたことから、この段階でリタイアとなってしまった。
最大のライバルが消えたことで楽になった40号車アウディは、スタートから約15分後に降り出した雨の助けも借り6番手へとポジションを上げていく。またピットストップではチームメカニックたちが素早い作業でマシンをコースに送り出し3つ順位を上げることに成功した。
レース時間残り21分。3番手でリスタートを迎えたフェラーは、前を走るロッシの46号車を捉えてオーバーテイクすると、続けざまに首位を走る30号車BMW M4 GT3(チームWRT)も交わしてレースリーダーに。その後は2番手に順位を上げてきた32号車BMWに3.5秒のギャップを築いてトップチェッカーを受け、週末2連勝でスプリントカップのシリーズチャンピオンを決めてみせた。今季限りでワークス活動を終了するアウディスポーツ・カスタマーレーシングにとっては“有終の美”となる勝利&チャンピオンシップ制覇だ。
レース2の総合3位はゴールドカップを制し、同クラスのシリーズチャンピオンも獲得した30号車BMW。アンドレア・カルダレッリ駆る60号車ランボルギーニ・ウラカンGT3エボ2(BSR)が、14号車フェラーリとのバトルに競り勝ち4位となっている。シルバーカップなどこの他のクラスのシリーズチャンピオンは以下のとおりだ。
■GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ2023 スプリントカップ・チャンピオン
・プロ:マティア・ドルディ/リカルド・フェラー(トレゾア・オレンジ1)
・ゴールド:カラン・ウイリアムズ/ニクラス・クルッテン(チームWRT)
・シルバー:ジョーダン・ラブ(ハウプト・レーシングチーム)
・ブロンズ:アレックス・マリキン(ピュア・レキシング)
■GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ2023 オーバーオール・チャンピオン
・プロ:ラファエル・マルチェッロ/ティムール・ボグスラフスキー(アコーディスASPチーム)
・ゴールド:カラン・ウイリアムズ/ニクラス・クルッテン(チームWRT)
・プロ-アマ:アレックス・フォンタナ/イヴァン・ヤコマ/ニキ・ロイトウィラー(カーコレクション・モータースポーツ)
・シルバー:アレックス・アカ/ロレンツォ・パトレーゼ(トレゾア・アテンプト・レーシング)
・ブロンズ:アレックス・マリキン(ピュア・レキシング)