そのル・マンを23時間目までリードしていた可夢偉は「ル・マンは目標であるワン・ツーを2回獲ることができ、チャンピオンを獲れたことは、チームはもちろん、ドライバーも1年間をとおして大きなミスなく戦えたことが結果につながったのかなと思います」とコメントしている。

「とはいえ、レースは勝負事なので、負けた、悔しい、勝った、嬉しいというのは出てきます。そのなかでも僕たちが誇りに思うべきなのは1年間を通していいライバルであり、お互いをリスペクトしながらシーズンを戦えたことです」

「ル・マンはこういった結果に終わって、僕たち(7号車)は悔しい結果に終わりましたけど、互いをリスペクトしあいながら終われたことは、このスポーツをやっていてよかったなと心から思う瞬間でした」

「2016年、一貴に起きたことを覚えています。ル・マン24時間の難しさ、最後まで気を抜けないということを近くで見ていたので、偶然かもしれませんけど(今回のアクシデントは)“ル・マンの壁”なのかなと受け入れるしかなかった」

「あのタイミングでああいったことが起きるということは、『ル・マンはまだ勝たせてくれないんだな』と受け入れるしかありませんでしたね」

 7号車にはレース残り1時間のタイミングでスローパンクチャーが発生。一度ピットへ戻ると右フロントタイヤを交換してコースへ戻ったが、実際にパンクしていたのは右リヤタイヤだったため、再度のピットインを余儀なくされる。2度の緊急ピットインとタイヤバーストを避けるためのスロー走行が重なり、この間に8号車の先行を許してしまった。

 加地GRパワートレーン推進部長によれば、7号車トヨタの空気圧センサーは車体右側のフロントとリヤで配線が逆になっていたといい、これが原因でどのタイヤがパンクしているのか正しく把握できなかったという。

「センサーは右フロントのパンクを示していたので、一輪だけ交換して送り出しましたが、すぐにホセ(マリア・ロペス)からコーションが消えていないと言われました。換えたタイヤの内圧をチェックしたら正常だったので、システムがおかしいと気づいたんです」

「この時点でパンクしていたタイヤは内圧が落ちていたので、レーシングスピードで走るとバーストする危険性がありました。そのため低速で走らせることにし、どのタイヤがパンクしているのかわからなかったので四輪交換を決断しました」

「(レース後)車検の日にマシンをバラしたところ、空気圧センサーの右のフロントとリヤの配線がスワップされていることが判明しました。我々のミスで7号車のみんなには本当に申し訳ないです」

 7号車は予選1回目でLMP2クラスのマシンとクラッシュ。その影響でモノコックにひびが入ったため、予選2回目を前にモノコック交換を行っており、この際に配線の取り間違いが起きたと思われる。

■2019/20年に向け、王者の一貴「挑戦者という気持ちは変わらない」。可夢偉は”ハイパーカー時代”も見据える

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