では、パワーが減り重くなったことは、トラフィックマネージメントにどう影響するのだろうか?
TS050では、溜め込んだハイブリッドブーストをコーナーの立上がりで一気に開放し、易々とバックマーカーを抜かすことができた。しかし、重量が増しMGUが一基となったこと、そして120km/h以下では前輪のハイブリッドブーストがかからなくなることで、オーバーテイクは以前よりも難しくなるのではないだろうか?
「逆ですね、逆。燃料が使えるので」と可夢偉。
「前は(アクセルを)踏みたいところで踏めないから、わざわざ無駄に燃料を使わないようにしたりして、確実に抜けるところで抜いていた。でも、今のルールだとアクセルをパーシャルにしようが、パカパカやろうが燃料的には問題ないから、逆に簡単だと思います。(相手と)同じ速度だったほうが合わせやすいじゃないですか」
これについては一貴も「単純に、GTみたいになるのかなと。考えることが減るし、シンプルになると思います」と可夢偉の意見に同意する。
もう一点、ハイパーカー規定となり、大きく変わることがある。それはエアロパッケージだ。
昨年までは、ル・マン用のローダウンフォース仕様と、主にそれ以外のサーキットを想定したハイダウンフォース仕様の2タイプを使い分けることができた。しかし、新規定では1タイプに制限されることになった。
「GR010は、これまでのローダウンフォースに近いパッケージだ。つまり、他のサーキットよりもル・マンにあったエアロだといえる」とブエミ。
ヘッドライト周りは以前のハイダウンフォース仕様に近い造形にも見えるが、プライオリティはル・マンにあるようだ。
「サーキットとの相性という意味では、ル・マンが一番良いのではないかと思います。あと、昨年(新型コロナの影響で)開催できなかった富士も期待していますし、楽しみです」と、一貴は結んだ。