ハイパーカーとLMP2のラップタイムがともに昨シーズンより抑制されていることは、GTEクラスの戦い方にも影響してきているようだ。AFコルセの51号車フェラーリ488 GTE Evoをドライブするアレッサンドロ・ピエール・グイディは、上位クラスにラップされる経験がどのように変化したかについて、このように説明する。

「過去には、とくにストレートにおいては、LMP2とLMP1はGTEよりはるかに速かった」

「僕らにとって、トラフィックは問題にならなかった。だが今は、速度差が少なくなったので、トラフィックに少し苦労している。接触や困難な事態を避けるため、それに注意を払う必要が生じてきている」

 実際に、上位クラスとの接触は、チェティラー・レーシング47号車フェラーリ488 GTE Evoによって経験された。トヨタ7号車とのオー・ルージュでの接触のあと、47号車はラディオンの頂上でクラッシュした。この事故を背後で見ていたピエール・グイディによれば、トヨタが走行を続ける一方で、ロベルト・ラコルテがドライブするチェティラーのマシンはスピンしながら丘を登っていき、タイヤバリアに衝突したという。

 チェティラー・レーシングのメンテナンスも受け持つAFコルセのメカニックは、夜遅くまでかけて大規模な修復を行なっていた。

■チーム・プロジェクト1のポルシェが開幕戦から撤退

 LMGTEプロクラスでは、プロローグにおける明確なリーダーが存在した。ただひとり2分13秒を切るラップタイムをマークしたのはポルシェ・GTチームの92号車ポルシェ911 RSR-19をドライブするケビン・エストーレで、2番手に対し約1.3秒もの差をつけたのだ。

 一方、ポルシェのLMGTEアマクラス陣営では、残念なニュースもあった。初日の午後にクラッシュしたチーム・プロジェクト1の46号車ポルシェ911 RSR-19が、今週末に行なわれるWEC第1戦スパからの撤退を表明したのだ。これにより、同レースのエントリー数は34台へと減少することとなった。チーム・プロジェクト1は、6月の第2戦ポルティマオ8時間レースではシリーズに復帰するものと見られている。

プロローグでのクラッシュにより、WEC第1戦からの撤退を決めたチーム・プロジェクト1の46号車ポルシェ911 RSR-19
プロローグでのクラッシュにより、WEC第1戦からの撤退を決めたチーム・プロジェクト1の46号車ポルシェ911 RSR-19

 チーム代表のアクセル・ファンケはSportscar365に対し、この車両が今週の残りのイベントに参加するのに適していないだろう、と語っている。

 クラッシュ後の初日夜には、ポルシェからの新しいシャシーの導入を検討しているとファンケは述べていたが、この方法は採らないことをその後に認めている。

 また、2日目午前のセッションでは、LMP2クラスのレーシング・チーム・ネーデルランド29号車オレカ07と、LMGTEアマクラスのアイアン・リンクス85号車フェラーリ488 GTE Evoとの間でのビッグ・アクシデントがブランシモンで発生。いずれのチームもその後、新たなシャシーを導入することを決定しており、木曜日のレースウイーク最初のプラクティスに向け、新たな車の準備を開始している。

プロローグでのクラッシュにより、WEC第1戦に向けてシャシーを入れ替えることとなったアイアン・リンクスの85号車フェラーリ488 GTE Evo
プロローグでのクラッシュにより、WEC第1戦に向けてシャシーを入れ替えることとなったアイアン・リンクスの85号車フェラーリ488 GTE Evo

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