「何が起こったのかというと、給油担当者は非常に経験豊富で、10年以上も自動運転のようなものを使ってその役割を果たしてきた。もちろん彼は燃料が上がってくるのを見た後でタイマーを確認しなければならないことを知っていた」とバセロン。
「しかし燃料が上がったきたとき、彼は本能的に給油リグをクルマから引き抜いてしまった。すぐにリグを戻そうとしたが、すでにクルマは(彼の目の前から)消えていたんだ」
8号車がこのペナルティで序盤のリードを失ったのとほぼ同じタイミングで、7号車はギアボックスのオイルを補充したためピットでの停車時間が伸びた。これによってトヨタの2台はハーフウェイでアルピーヌに先行を許している。
「油圧の低下があったが、この件についてはまだ説明がつかない」とバセロンは述べた。
「(応急処置として)オイルを少し補充し、その後問題は解決した」
また、7号車はレース中盤から終盤にかけてフロントタイヤのロックアップの問題を抱えた。バセロンはこれについて次のように語っている。
「7号車の前輪ロックは一種の過敏状態にあった。通常はブレーキバランスを調整することができクルマのシステム上、変更が可能だ。原因を分析する必要がある」
■FCY時の素早い判断が勝利を呼び込む
ある時点までアルピーヌに押され気味だったトヨタだが、WECのディフェンディングチャンピオンチームは戦略でこの戦いに打ち勝った。
トヨタは可夢偉がレース開始から4時間過ぎにブリュッセルでコースオフを喫してリードを失ったため、2度目のフルコースイエロー(FCY)中に8号車の一貴をピットに呼び戻すことを決断した。一貴をスティントの途中でピットインさせることで、トヨタは終盤にFCYが出なくとも8号車が残り1回のピットインでフィニッシュまで走れるようにしたのだ。
当時、首位を走っていたアルピーヌのマシンはあと2回ピットに入る必要があった。
「ハイパーカーの最初のレースで優勝できたことは私たちにとって重要であり、この結果に満足している」と語ったバセロン。
「それは大変なハードワークだった。FCY下で決断した戦略は非常に優れていたよ。私たちは燃費の面でわずかにライバルより利があったんだ」
「それでもレースの最後の部分では、燃料を節約をしなければならなかった。通常は1スティントで25周していたが、戦略変更を受け2回にわたって26周しなければいけなくなった」
「しかし、これによって1回分のピットストップの時間を節約することができた。それが我々が勝利を手にすることができた要因だ。ストラジテストの戦略的な判断が初優勝を呼び込んだのだ」