アラゴンには新たなシャシーである709号車も赤いカラーリングを施して持ち込まれ、ポルティマオでのレースを前にシェイクダウンが行なわれた。
シャシー交換ののち第3戦のモンツァに投入される708号車について、グリッケンハウスは「第2世代」のホモロゲートされたシャシーになると説明している。それは、これまでサーキットテストの大半を行なってきたオリジナルのものより20kg軽量化されるという。
「クラッシュテストのあと、シャシーから20kgの重量を減らすことができた」とグリッケンハウスは説明している。
「シャシーに問題はなかった。重量が20kg軽くなったことにより、クルマのバランスは少し良くなった。709号車は(すでに)この新しいシャシーになっている」
アラゴンでのテストは、ミシュランのリヤ2輪駆動向けの新たなLMHタイヤを使用した、SCGのもっとも大規模な走行セッションとなった。SCGのタイヤは、トヨタGR010ハイブリッドで使用されている四輪駆動のタイヤや、アルピーヌ・エンデュランス・チームのノンハイブリッドLMP1マシン向けのタイヤとは異なるものだ。
これについて、デラーニは次のように述べている。
「僕はひとりで、また他のドライバーとシェアして、レース・スティントを走った。タイヤに関するいくつかの作業を組み合わせ、ひとりが使ったタイヤをもうひとりも履いてみたりした」
「この面では、いくつかの点において、実際のパフォーマンスにおける有望かつポジティブな兆候が見られた。そして、他の点ではいくつかの疑問が生じていた」
「トラックコンディションが大きく変化するサーキットなので、その点では非常に難しかった」
「そして、熱がクルマのフィーリングを変える。だが総合的にみればタイヤに対して要求の高いトラックなので、とてもポジティブなものだった」
ミシュランのタイヤはダブルスティントの前半では概ね良好に走行できるが、2スティント目では予想よりも早くタイムが落ちることが分かったと、グリッケンハウスは語っている。
またグリッケンハウスによれば、ミシュランは今回、2021年のシーズン後に後輪駆動車で使用される可能性のある「次世代」タイヤも持ち込んでおり、このスペックはレースシミュレーション走行を通じて、よりデグラデーションが少ないものだったという。
■LMP2との同時走行で、タイム差が判明
アラゴンではリシ・コンペティツィオーネとドラゴンスピードがオレカ07・ギブソンを持ち込んでテストを行なっており、グリッケンハウスとしてはLMP2マシンとのギャップを直接観察できる機会ともなった。
007 LMHはダブルスティントの前半でLMP2よりも「1.2〜1.5秒」ほど速かった、とグリッケンハウス。だが、2スティント目ではその差が劇的に縮まったという。
グリッケンハウスは、レースにおいてふたつのプロトタイプクラスの間での適切な“階層化”を作り上げるためには、最初のスティントでのマージンをさらに大きくする必要があるという懸念を表明している。
「アラゴンでは、LMP2のスティント中の最速ラップよりも、明らかに1.5秒速かった」とグリッケンハウス。
「だが、タイヤが2スティント目に入ると、そうはならなかった。これは単に物理の法則だ」
「タイヤがなくなると、誰も1秒半を取り戻すことはできない。ACO(フランス西部自動車クラブ)はそれを知っている。誰もショックを受ける必要はない。トヨタが言う『LMP2とは異なるフィールドにいる必要がある』というコメントに耳を傾けるのなら、それが答えだ」