それでも諦めなかったボッセは昨年、ロッシへのアプローチを再開し2021年のWRTのエクステンドメンバーを経由し、彼の仲間内を通じてコンタクトをとることに成功した。

「その人物にメールを送って数週間経っても返事がなかった。だが、7月頃に返事があり(ロッシと)最初のコンタクトがあったんだ」と説明したボッセ。

「物事はそこから動いた。彼がどれだけチームのこと、そして私たちのことを知っているのか聞いてとても光栄に思ったよ。8月の終わりに私たちはビデオ通話で初めて対面したんだ」

「その場で私は彼の将来をどう見ているかを説明した。当時、彼はまだ引退を明らかにしていなかった。引退表明がなされたあと、私たちはもう少し先まで話を進めることができた」

「すべてはそこから始まった。彼は情熱にあふれた人物で、自分が何を望み何を望まないか、そしてどうしたいかを知っている、と言わざるを得ない」

 ロッシは昨年12月にバレンシア・サーキットで初めてアウディR8 LMS Evo IIをテストしている

 バレンシアのテストでのパフォーマンスが、レースプログラムへの合意を最終的に決定することに拍車をかけたのか、と尋ねられたボッセは次のように答えた。

「私たちは合意に近づいていたと思う。そのうちにテストの可能性がそこにあった」

「テストはうまくいった。彼のアプローチと技術的なフィードバック……私はこの他には期待していなかった。彼のクルマへの適応の仕方は印象的だったよ。彼は運によって9回も世界チャンピオンになったわけではない」

「競争力を持つための方法などすべてを理解しようとする姿勢があり、彼がただ楽しむためにそこにいるのではないことは明らかだった」

「おそらく彼自身が楽しむことも非常に需要なことだろう。しかし、彼は楽しみながら競争力を持つこともできる」

 ボッセは、ロッシが四輪モータースポーツで最初のフルシーズンを過ごすにあたって、トップカテゴリーのプロクラスに配置されることは「一般的な決定」であると付け加えた。

 過去のGTレースにはプロ・アマカテゴリーで参加してきたロッシだが、2022年シーズンは他のふたりのワークスドライバーが彼をサポートすることになる。

「彼をシルバーカップなどで走らせようとは到底思っていなかった」とボッセ。

「私はいつも、彼をプロが乗るクルマで走らせるという考えを持っていた。プロクラスでの経験が豊富で、マシンやチームのことをよく知っているふたりのチームメイトがいることは、学び、前進し、大きなステップを踏むための助けになると思っているんだ」

バレンティーノ・ロッシがテストドライブしたアウデイR8 LMS Evo II
バレンティーノ・ロッシがテストドライブしたアウデイR8 LMS Evo II

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