そんな2019年モデルのアウディR8 LMS EVOだが、2018年モデルとの違いについては「空力については少しセンシティブな部分はあったのですが、それをマイルドに、扱いやすくした方向です。それほど大きな変化ではなく、冷却特性やギヤの内部部品など、目に見えないところが大きく変わっています」と富田は語った。

EVOモデルとなったアウディR8 LMS GT3だが、外観上の変化は「フロントバンパーくらい」と富田
EVOモデルとなったアウディR8 LMS GT3だが、外観上の変化は「フロントバンパーくらい」と富田

「外観で言うとフロントバンパーくらいしか変わっていないのですが、バンパーが変わったことで空力が良くなり、ブレーキで今まで以上に攻められるクルマになりました。その意味では正常進化ですし、『今までカユくても手が届かなかったところに届くようになった』と思いますね」

 一見「マイルド」というと、車両の特性としてはダルな方向に振られたと感じがちだが、「トガっているところは前よりトガっている」と富田は説明する。

「今までだと『どうなるか分からないけど行ってみよう』だったのが、『行けるから行ってみよう』になりました。より空力を使いこなして走らなければいけないクルマになったので、ドライバーとしては『モア・チャレンジング』なクルマになりました」

富田は「GT500もブレーキングでは僕たちは抜けないんじゃないでしょうか」とブレーキングに自信をみせる
富田は「GT500もブレーキングでは僕たちは抜けないんじゃないでしょうか」とブレーキングに自信をみせる

 また、富田が2019年のスーパーGTで大いに強調するのが、低速コーナーでのスピードアップだ。「ブレーキングのパフォーマンスがすごいです。他のクルマが止まってるんじゃないかと思うくらい。このクルマとヨコハマタイヤが組み合わさったときのブレーキングパフォーマンスはすごいです。GT500もブレーキングでは僕たちは抜けないんじゃないでしょうか」とまで言う。

「ブレーキングのパフォーマンスもそうですし、スタビリティも高い。高速コーナーはもともとダウンフォースもあるし速いんですが、低速でのつっこみと出口のトラクションがあるから、小さいコーナーがすごく速いです。前のクルマよりも進歩しているかな」

 2019年シーズンのスーパーGT、シリーズ戦は最終戦もてぎのみだが、ここはR8 LMS EVOが得意とするコース。富田自身も「もてぎはもともと速いコースですし、すごく期待していますね。」と言う。

「幅は入ると広くて、入るまでが遠い感じがします」というセットアップも、「手がかりをつかみつつある」というHitotsuyama Audi R8 LMS。2019年シーズン最終戦でも、GT300クラスを盛り上げてくれるマシンの1台となることは間違いなさそうだ。

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