F1ジャーナリストがお届けするF1の裏話。第3戦オーストラリアGP編です。

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 メルボルンはスポーツ好きな街だ。ここではテニストーナメントのオーストラリア・オープンから、クリケットの聖地とも呼ばれるメルボルン・クリケット・グラウンドでの試合まで、国際的な規模のスポーツイベントが数多く開かれる。それに加えて大きなサッカースタジアムがいくつもあり、複数のラグビーチームや、オーストラリアンフットボールのほぼ全チームがメルボルンを本拠地とする。

 そして、いまやF1のオーストラリアGPも、この街にすっかり溶け込んでいる。

 できるだけ街の中心部に近い場所でレースを開催したいのなら、公園の周回路をベースにしてサーキットを作るというアイデアは理想的と言える。日常交通に用いられる大きな街路の一部を閉鎖してストリートコースを設けるよりも、市民生活への影響をはるかに小さく抑えられるからだ。

 また、そうした立地であれば、街の既存の交通インフラを活用して、13万人の観客の大多数を公共交通機関でサーキットまで運ぶことも可能になる。メルボルンの場合、その役目を担うのは市街からアルバートパークの南側に沿って走り、セントキルダのビーチまで行けるトラム(路面電車)である。トラムの路線網は街全体に張り巡らされている。したがって、街中の大きな鉄道駅からサーキットまで様々なルートが選択可能になっており、ファンの移動の足として大いに役立っているのだ。

 クルマでサーキットへ行こうとすると、狭い入口へアクセスできる道路は限られていて、トラムを利用するよりずっと時間がかかることもある。実際、ほとんどの入口の近くに停留所があって、トラムの方がはるかに便利なのである。ただ、クルマであれば、少なくともプライバシーは確保できる。レースの週末のある日、リアム・ローソンはそれを身をもって学ぶことになった。

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