だが、ストロールはあきらめなかった。25周目にウルトラソフトを見切って、スーパーソフトに交換すると、前ほ走るマシンを1台ずつコース上でオーバーテイクする力強い走りを披露するのである。
27周目にウェーレイン、31周目にエリクソン、38周目にパーマー、41周目にグロージャン、44周目にバンドーン、そして46周目にはアロンソをオーバーテイクして、ついに入賞圏内に突入する。その走りをパディ・ロウ(チーフテクニカルオフィサー)は「あまりにも多くのオーバーテイクをやってのけたので、すべてを覚えてはいないが、とにかくすごい走りだった」と絶賛した。
地元紙「モントリオール・ガゼッタ」が一面でストロールの9位入賞を取り上げたのは、この日のストロールのパフォーマンスが理由だったわけではない。この入賞がカナダ人ドライバーとして、ジャック・ビルヌーブ以来となるポイント獲得だったからだ。そのビルヌーブも地元での入賞は96年の一度だけ。それほど、母国グランプリで入賞するというのは難しい。それをストロールはデビューイヤーでやり遂げた。
カナダ人ドライバーの母国グランプリでの入賞は21年ぶり。しかも、今年カナダは建国から150周年。そのメモリアルイヤーにストロールが成し遂げた快挙を地元紙「モントリオール・ガゼッタ」は祝福していた。
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