「レーシングエンジンの場合、オイルというのは入れすぎると必ず吹いてしまう。そして、そういう状況になると(ターボの中に)入ってしまう。ベンチテストでは入れすぎて吹いてしまうという状況が起きないため、壊れることはないんです。そういう意味では、どれだけ入るとダメージを受けるのかがわかっていなかったということです。ただ、その部分に関しては去年と変わっていないんですが……。とにかく、今後はこのような状況になっても耐えられるようにするよう検討しています」
今回のトラブルは問題はこれまでと同じようにメカニカルなものですが、原因に関してはあまりにも短命だったので、イレギュラーだった可能性もあると長谷川総責任者は語る。
ホンダはトラブルが起きたアロンソのMGU-Hとターボを、カナダGPのレースで使用したものに交換した。
「ペナルティを受けずに交換できるスペアのMGU-Hが、それしかなかったから」という理由だったが、ホンダはアゼルバイジャンGPでMGU-Hとターボを2基下ろしている。
そのうちの1基が今回壊れたもので、これはレースで9位入賞したもの。もう1基はアゼルバイジャンGPの金曜日に投入して、フリー走行でギヤボックストラブル時に搭載されていたものだ。しかも、このMGU-Hとターボは新型である。なぜ、このパッケージを使用しなかったのか。
じつは今年レギュレーションが変更になり、PUをストックすることができなくなってしまった。スポーティングレギュレーションの23条3項では「1イベントでストックできるPUは、その週末に最後に使用したもの」となっている。
つまり、アゼルバイジャンGPの金曜日に使用したものは、レギュレーションで再び使用することが許されていないPUとして、今シーズン初めて適合されることになったのだ。