■バトン「経験に勝る要素は何ひとつない」

 マクラーレンがバンドーンを失わないために来季レースドライバーに昇格させる場合は、バトンがチームから去ることになる。

 しかし2010年からチームに所属するバトンは再び契約を延長することを望んでいる。

 2015年から新たにホンダと組んで戦っているマクラーレンは、新たなプロジェクトの中で苦戦を強いられている。しかしホンダは来季に向けて大きな開発プログラムに取り組んでおり、FIAはパワーユニットマニュファクチャラー間のパフォーマンス格差を縮めようとしている。さらに来季は空力の重要度が増す新レギュレーションが導入されるため、マクラーレンはそれを利用して一気に飛躍につなげたいと考えている。

 2017年は、2015年以降チームが最も高い競争力を発揮できるチャンスの年であり、昨年からの苦戦に耐え忍んでいるバトンとしては、残りたいところだ。

 マクラーレンにとってバトンを選ぶことのメリットは明白だ。彼はチャンピオン経験者であり、マクラーレンやホンダのエンジニアたちと長年働き、幅広い経験を積んでいる。またチームのスポンサーの面でもイギリス出身の彼が存在することはプラスになる。

 バトンがアロンソと同等のパフォーマンスを見せ続けることができれば彼を残留させることに何の問題もないはずだ。ただ今年は予選ではアロンソが5対1で勝っており、ポイントでもバトンを13点上回っている。

 バトンはF1チームにとってのドライバーの経験の重要性を主張している。

「年齢は関係ない。ハングリーさがあり、高い競争力があり、速さを失ってさえいなければ、経験に勝てる要素は何ひとつないんだ」とバトンはカナダで語った。

「コース上の走り、チームとの作業、マシンセットアップや開発、何に関しても経験より重要な要素はない」

「速く競争力のあるマシンで走る場合は誰であっても比較的楽に仕事ができる。でもマシン開発はそれに比べるとかなり難しい」

「僕がチームオーナーなら、常に経験あるドライバーを選ぶ」

 英AUTOSPORTの情報では、マクラーレンは来季ドライバーラインアップについての協議は8月のサマーブレークまでは行わない見込みだという。今後8週間のうちに6回グランプリが行われる忙しい時期を迎えるため、コース上の戦いに集中するためだ。

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