トップを走行するメルセデスAMG勢は余裕の走りだが、その中でもタイヤのマネージメントが厳密に行なっていた。フェルスタッペンと同様に左リアタイヤに掛かる負荷は常にテレメトリーによって監視し、自分たちで儲けた限界値を超えないようなドライビングをドライバーたちに促す。
メルセデス:さっきのラップは左リアがリミテッドだった。マネージメントが必要だ。ボッタスとのギャップは10.4。残り38周だ
ルイス・ハミルトン:後ろとのギャップは?
メルセデス:ボッタス21.7
ハミルトン:アップデートしてくれよ!
メルセデス:ボッタスと8.8秒。トラフィックに引っかかって22.7だった
ハミルトン:さっきの周の左リヤは?
メルセデス:リミット0だ
チームから状況報告がないことにやや不満をぶつけたハミルトンに対し、2番手のボッタスはハミルトン車の気流の影響を受けてタイヤマネージメントが厳しく、1ストップで走り切れるかどうかの瀬戸際だった。2ストップ作戦も検討するが、それにはリスクもあった。
メルセデス:もしピットインしたらフェルスタッペンの7秒後ろになりコース上で彼を抜く必要がある。第1スティントのタイヤはクリティカルだった
一方、35周目にはハードタイヤで1ストップ作戦狙いのルクレールの後方に、ミディアムタイヤのベッテルが迫る。フェラーリは2ストップ作戦のベッテルを先行させるようルクレールに指示を出す。
フェラーリ:ベッテルを行かせてくれ。彼は異なる戦略だ
ルクレール:あぁ、でも僕もレースをしているのに!
ベッテルは40周目にピットイン。ルクレールの30秒後方まで下がってしまう。
ベッテル:僕らはどこにいる? 状況はどうなっている?
フェラーリ:ルクレールに30秒差だ
ベッテル:残りは?
フェラーリ:残りは20周だ
フェルスタッペンももう一度ピットストップが必要で、この時点で実質的にはルクレールが3番手の位置にいた。
レッドブル:ルクレールはさっきのラップ23.0だった
フェルスタッペン:どっちにしても彼は最後まで走るんだから関係ないよ
フェルスタッペンも43周目にピットインして4番手に下がり、ハードタイヤでロングスティントを走るルクレールを、ここから20周近くフレッシュなミディアムタイヤで追いかけてコース上で抜き返すことを目指してプッシュを開始していく。