決勝のスタート・タイミングが今回はやや早めに感じられた。しかしハミルトンは自分をスタートに合わせるのではなく、スタートを自分に合わせるかのように発進した。そう見えるくらい美しいダッシュを決め、千載一遇のチャンスをボッタスとルクレールにも与えなかった。

2019年F1第8戦フランスGP決勝 セバスチャン・ベッテルがランド・ノリスをオーバーテイク
2019年F1第8戦フランスGP決勝 セバスチャン・ベッテルがランド・ノリスをオーバーテイク

 それからは53周をリード。ファイナルラップに29周してきたトレッド表面が変化しているハードタイヤで、1分32秒764を出す。しかし、新しいソフトタイヤを装着したベッテルが1分32秒740の僅差で優り、なんとかフェラーリが最速ラップ=1点獲得。だがこの最終盤に“0.024秒差”で走破可能なメルセデスの潜在力を、ハミルトンは見せつけた。

 彼らの独走と連勝を見つめた6万人のなかに感動したファンはどれだけいたのだろう。これまでもシーズンを席巻するマクラーレン・ホンダ~フェラーリ~レッドブル・ルノーに、「退屈症候群だ」と皮肉る表現が言われた。それは認めても勝ちつづけていく彼らの闘いには、感銘する部分がたしかにある。ハミルトンとしてはそれをすこしでも分かって欲しいと、そう思っているのだろう――。

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