そこで、角田を取材した後、レースディレクターのマイケル・マシが会見を開くというので、参加した。多くの記者がランド・ノリス(マクラーレン)へのペナルティの件と、予選でのスロー走行に関する質問をしていたので、こちらもなかなか時間を割くことができなかったが、角田が言う「フリー走行で何も言われなかったのに、レースで急に」という件について尋ねると、マシはこう回答した。

「これは2年前に改訂されたことだが、白線をまたいでピットインしても、フリー走行ではペナルティを取らず、警告にとどめている。それは、このグランプリだけでなく、ずっと同じ。もちろん、先週もそうだった。そして、先週も今週もそれは角田には出していない。私がこの件で警告したのは、(ニコラス・)ラティフィだけだ」

 つまり、角田はフリー走行と同じようにピットインしているつもりだったようだが、実際には白線をまたいだのはオーストリアGPのレースだけだったようだ。

F1 Topic
2021年F1第9戦オーストリアGP金曜フリー走行 ピットに向かう角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)

 何よりも気になるのは、白線をまたぐという初歩的なミスを2度も犯したことだ。

 筆者はマシに「チームからの問い合わせはなかったのか?」と尋ねると、マシは「アルファタウリからはなかった。今回のレースであったのは、スタート直後の事故の後にアルピーヌからと、再スタート直後の(セルジオ・)ペレスとノリスの事故でレッドブルからと、そしてペレスと(シャルル・)ルクレールの事故でフェラーリからの3件だけだった」

 そして、こう続けた。

「なぜ、チームは1回目のペナルティを受けた後、そのことをドライバーに説明し、2度目の違反を防ごうとしなかったのか……」

 それは、筆者も感じていたことで、角田とのやりとりでも、次のように質問している。

「1回目のペナルティの後、2回目のピットストップに向けて、チームと何かやりとりしたとか、チームから『気をつけるように』などの指示はなかったのですか?」

 すると角田はこう答えた。

「ありましたけど、本当にピットエントリーの寸前でした」

 そこで角田の車載映像とその無線を確認すると、じつは角田がチームからペナルティを受けていることを知らされたのは、2回目のピットインの際で、しかもピットレーンに入ってからのことだった。つまり、角田はそもそも1回目のピットインの際にペナルティを受けていたことを知らずに、2回目のピットインまでレースを続けていたことになる。

 ピットインの指示が急だったために、慌てて走行ラインからピットインして白線をまたいだのかとも思ったが、映像と無線では8コーナー立ち上がりで「BOX」の指示が出ていて、角田も9コーナーの手前ですでにラインをイン側に変えているから、ピットインの指示のタイミングが遅すぎたということは考えにくい。

 むしろ、マシが指摘するように、チームからマシに問い合わせがなかったということは、チームは角田が白線をまたいでペナルティを科せられたことに関して疑問はなく、十分理解していたと考えるのが自然だ。

 さらにこの日のレースは2ストップ作戦だったから、もう一度、角田をピットインさせることもわかっていた。そうだとしたら、なおさら、2回目のピットインの前に、チームは角田に「1回目のピットストップの際に白線をまたいで5秒ペナルティを受けているから気をつけろ」という注意をしなかったのかが不思議だ。

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