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F1 ニュース

投稿日: 2022.09.09 17:02
更新日: 2022.09.09 17:06

【鈴鹿F1優勝偉人伝/特別編】セナ、ベルガー、シューマッハーが魅せた伝説的な“驚速”予選ラップ

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F1 | 【鈴鹿F1優勝偉人伝/特別編】セナ、ベルガー、シューマッハーが魅せた伝説的な“驚速”予選ラップ

 1987年以降、大きく全長が変わるようなコース変更がない鈴鹿において、初年度の予選最速が1分40秒台(1分40秒042)だったことを考えた場合に、1分30秒を切るタイムというのは未来永劫、不可能であるとも考えられていた。高いGにさらされる人間の身体がもたないだろう、そんな想像までしたものだが、ついに“そのとき”がやってくる。

 2.4リッターV8エンジン規定の初年度である2006年、鈴鹿の予選タイムは1分30秒を切る領域“アンダー90秒”の世界へと初めて突入するのだった(突入したのは3台)。

 2006年の予選最速タイムは、3段階ノックアウト予選のQ2でシューマッハー(フェラーリ248F1)がマークした、衝撃の1分28秒954。1987年よりも11秒以上、F1は(鈴鹿において)速くなったのである。

 当時はレース中の給油があり、予選Q3には決勝スタート時の燃料を積んだ状態で臨む、という“規則状況”もあったため、予選最速タイムが軽い燃料量で走れるQ2でマークされることは珍しくなかったと記憶しているが、Q3の“ポールポジションタイム”はフェリペ・マッサ(フェラーリ)の1分29秒599で、Q2のシューマッハーの方が速かった(予選2番手シューマッハーのQ3は1分29秒711)。

 2007年からF1日本GPの開催サーキットが富士スピードウェイに移る、というタイミングでもたらされた1分28秒954には、もしかしたら鈴鹿の恒久的最速タイムになる? ということも考えられたし、唯一の1分28秒台という希少性もあった。

 さらにはシューマッハーがこの2006年限りでの引退を決めていたという状況があった(結果的には第一次引退だったが)。そうした要素が連なっていただけに、このラップタイムはいろんな意味で宝物になる、そんな予感と感動に満ち溢れていたことは確かだった。

2006年F1日本GP ミハエル・シューマッハー(フェラーリ)
2006年F1日本GP ミハエル・シューマッハー(フェラーリ)
2006年F1日本GP ポールポジションのフェリペ・マッサと2番手のミハエル・シューマッハー(フェラーリ)
2006年F1日本GP ポールポジションのフェリペ・マッサと2番手のミハエル・シューマッハー(フェラーリ)
3日間で36万1000人という観客動員数を記録した2006年のF1日本GP
3日間で36万1000人という観客動員数を記録した2006年のF1日本GP

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 2006年シューマッハーの1分28秒954は2016年まで予選最速であり続けたが、2017年にF1は鈴鹿1分27秒台の世界に入る。そして目下の最新開催、2019年に“現レコード”の1分27秒064がセバスチャン・ベッテル(当時フェラーリ)によって記録されている。ちなみに、この年の予選は台風の影響で決勝日午前の実施だったが、そのせいもあり印象の面では少し損をしているかもしれない……。

 今季2022年は空力やタイヤが大きく変わったシーズン。ここまでの開催コースにおける2019年比のタイム動向を単純に見る限り、今年の鈴鹿で予選1分26秒台というのは難しいように思える。ただ、タイムの次元とは別の要因、激戦突破や予想外の大差などによって4つめの伝説的予選ラップが生まれる可能性は常にある。“驚速”の定義は、決してひとつではないだろう。

 オランダGP終了時点では、ひょっとするとシンガポールGPで2年連続のタイトル獲得を決めてからの来日になりそうな気配さえ出てきたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)。目下充実の彼に、鈴鹿F1驚速史に新たに刻まれる“フェルスタッペン”というドライバーの代名詞になるような伝説的予選ラップ披露を期待したいところだ。

2019年F1日本GP セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)
2019年F1日本GP セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)
2022年F1オランダGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
2022年F1オランダGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)


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