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海外レース他 ニュース

投稿日: 2020.11.27 13:06

ラスト2戦のポイント状況まとめ。角田裕毅はF1への資格を手にできるのか【FIA F2直前プレビュー】

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海外レース他 | ラスト2戦のポイント状況まとめ。角田裕毅はF1への資格を手にできるのか【FIA F2直前プレビュー】

 そして、もっとも気になるのが角田のスーパーライセンスの行方だ。ここであらためてスーパーライセンスの獲得条件を整理しておきたい。

 スーパーライセンスの発給にはさまざまな条件が設定されており、代表的なところでいえばFIA国際グレードAライセンスの所持、運転免許証の所持、18才以上であること、そしてスーパーライセンスポイントを40ポイント取得していること等が記されている。他にも細かな条件がいくつか定められているが、ここでは『スーパーライセンスポイント40点』に注目していく。

 これまでスーパーライセンスポイントの取得条件は『直近3年間で40ポイントを累積すること』と定められてきた。このポイントはFIAが定めた特定の選手権におけるランキング上位者に与えられるもので、その詳細はFIA国際モータースポーツ競技規則付則L項 第1章に記されている。

 しかし、今年10月に行われたワールド・モータースポーツ・カウンシル(WMSC)でこの条件が緩和された。その内容は『2020年を含む、直近4年間のうち、ベスト3年間の累積が40ポイント』というもの。つまり、2017年の戦績も対象になるということだ。

 ちなみにスーパーライセンスポイントはこのシステムが確立された2016年から、毎年少しずつ付与されるポイントや対象カテゴリーが変動してきたが、ポイントを計算する上では該当するシーズンに施行されたルールに基づいて行う必要がある。つまり2017年に獲得したスーパーライセンスポイントを計算するためには、2017年のレギュレーションを参考にしなければならない。

 それを踏まえた上で角田の2020年を含む直帰4年間の参戦歴と戦績、そして獲得しているスーパーライセンスポイントは以下の通りとなる。

■直近4年間の戦績とスーパーライセンスポイント

参戦カテゴリー ランキング SLポイント
2017年 FIA-F4 3位 7pt
2018年 FIA-F4 チャンピオン 12pt
2019年 FIA F3 9位 2pt
2020年 トヨタ・レーシングシリーズ・ニュージーランド 4位 3pt
FIA F2

 まず、あらたに定められた『2020年を含む、直近4年間のうち、ベスト3年間の累積が40ポイント』というルールに当てはめると、2019年のFIA F3はランキング9位だったため、除外され、代わりに2017年のFIA-F4の戦績が対象に加えられる。

 そして、もうひとつここで注目しておきたいのが、FIAが2019年からスーパーライセンスポイントの付与条件のひとつに加えた内容だ。それは、1年の間にふたつの選手権ポイントを獲得することができるが、そのふたつの選手権のカレンダーは重なってはいけないというものである。

 角田は2020年1月〜2月にかけて全5大会15レースが開催されたトヨタ・レーシングシリーズ・ニュージーランドに参戦しているが、これは7月から始まったFIA F2とカレンダーが重なっていないため、このポイントも有効となるようだ。

 以上の条件に当てはめてみると角田の現在のスーパーライセンスポイントは22点となる。つまり40ポイントを獲得するためには残り18ポイントが必要ということだ。FIA F2は、シリーズランキング1〜3位に40ポイント、4位に30ポイント、5位に20ポイントが付与されるため、今シーズンはランキング5位以上の戦績を残すことが必要不可欠である。

 最後に、WMSCで緩和された条件のなかに、やむを得ない状況により40ポイントの獲得が困難であることを証明できる場合、それまでに30ポイントを獲得していればスーパーライセンスの申請が可能であるという文言も記された。しかし、アクシデントやトラブルもその対象とされるのか否かは記されておらず、詳細が不透明である以上、これを当てにはできない。

 角田に関してはFIA F2のシリーズランキング5位以上を自力で手にして、文句なくスーパーライセンスポイントを獲得することが重要だ。ただし、最初のポイントランキングを見ても分かるとおり、消して容易なことではない。シーズンの序盤もそうであったようにエンジントラブルも多発するカテゴリーである上、予選で集団に飲み込まれれば1コーナーでアクシデントに巻き込まれる可能性も大いに考えられる。

 さらにいえばレース1で仮に上位でフィニッシュできたとしても、レース2はリバースグリッドになるため、中盤からスタートすることになる。ポジションを上げてレース2でも好結果を残さなければあっという間に背後に構えているライバルたちに逆転されることもあるだろう。角田にとってラスト2戦はかなりシビアな戦いになることは間違いないが、その困難に打ち勝った暁には、明るい未来が待っているはずだ。

スーパーライセンスが取得できればアルファタウリF1のシートも近く角田。
スーパーライセンスが取得できればアルファタウリF1のシートも近く角田。


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