ACOフランス西部自動車クラブは13日、2014年のル・マン24時間耐久レースのエントリーリストを発行したが、この中で日本のプライベーターの雄、チーム・タイサンの名はLM-GTEクラスのリザーブR2として登録されていた。昨年からル・マン挑戦を目指していたタイサンの今季の参戦は実現するのだろうか。千葉泰常代表に聞いた。

 今年で82回目を迎える世界三大レースのひとつ、ル・マン24時間。世界中から伝統の耐久レースを制すべく数多くのチームが参戦しているが、ル・マンのエントリー枠は55台と伝統的に決められており、これに環境技術を示す特別枠、"ガレージ#56"の1台が加わり、56台が出走する。

 例年、ACOから発行されるエントリー発表では、56台の参加車両に加え、56台枠の中のエントラントが、車両トラブルや経済的な理由等で参戦を取り消した場合に繰り上がる"リザーブ"と呼ばれる枠がある。今回もLMP2で5台、LM-GTEで5台のリザーブがエントリーされており、R1、R2、R3……の順で空き枠が出た場合に繰り上がっていく。今回、タイサンはGTEのR2となっており、28台のGTE車両に空きが2台出た場合に、初めて参戦が決まることになる。

 昨年からアジアではアジアン・ル・マン・シリーズ(AsLMS)という新たなシリーズがスタートし、タイサンは『チーム・タイサン・剣・エンドレス』としてフェラーリ458GTEを購入し、このシリーズに参戦。AsLMSの各クラスウイナーには、翌年のル・マン24時間のエントリー枠が与えられる"オートマチック・エントリー"と呼ばれるシステムがある。

 タイサンはこの枠を狙ってAsLMSを戦い、第1戦インジェでは小林可夢偉を起用するなど、必勝体制で臨み見事GTEクラスのチャンピオンを獲得。今季のル・マン24時間の参戦枠を確保したかと思われていた。しかし、AsLMSのGTC上位、LMP2上位は自動エントリーを勝ちとっていたにもかかわらず、タイサンはリザーブどまり。今回のリザーブ登録は日本のファンにとっては疑問符の残るものとなっていた。

 この点について千葉代表に話を聞くと、昨年9月の時点でACO側内でAsLMSのGTEクラスは台数が1台しかいないため、今季のル・マンへのオートマチック・エントリーはないという決定があったという。「我々はよく知らなかったんですけどね(苦笑)」と千葉代表。

「じゃあ『日本のチームとしてエントリーしろ』ということで、エントリーしたんです。ただ我々にはプラチナドライバーがいなかったものですから、昨年ウチのクルマをテストしてくれていたマッテオ・マルセリがフェラーリから推されていて、彼がOKだというのでエントリーしました」と千葉代表。

 近年、再びル・マン24時間には多くのワークスがエントリーしており、参戦枠をめぐる争いも熾烈なものになっている。昨年のル・マンにも登場したケータハムがリザーブとなったことで今季の参戦を取り消すなど、リザーブ枠では積極的に計画を進められない状況もある。では、タイサンは今季のル・マン参戦を諦めずに進めていくつもりなのだろうか?

「もちろんそのつもりです」と千葉代表。

「いつも3〜4台くらいはエントリーが変わりますからね。ただ、今年は内容を見るとワークス関係が多いですね(苦笑)。我々としてはル・マンの(ピット上の)バルコニーも申し込んであります」

 今季のアジアン・ル・マンの活動については、コストの関係やスケジュールが不透明なことなどもあり、参戦は不透明だと千葉代表は語る。とは言え、過去にGTクラス制覇を成し遂げたことがあるタイサンのル・マン再挑戦に向けて、千葉代表は熱い思いを絶やしていない様子だ。

「いずれにしても、総力を結集して皆さんに応援してもらえるようにしたいと思います」

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