WEC世界耐久選手権を、6月のル・マン24時間を最終戦としたウインターシリーズとして開催する構想が浮上しているようだ。
この案は、ACOフランス西部自動車クラブ会長のピエール・フィヨンと、WECのボスを務めるジェラルド・ヌブーらが、将来的な構想として語ったもの。
「原則として、我々はそういった何かを行いたいと思っている」とACO会長のフィヨンは語る。
「これは紙の上では良いアイデアだ。ただ、全ての影響を考えなくてはならないし、移行をどのように行っていくかを計画しなくてはならない」
今年で開催3年目を迎えるWECでは、6月のル・マンを中心として、4月からの前半戦をヨーロッパで開催し、ル・マン後にフライアウェイの後半戦を行う形を取っている。WECを統括するヌブーは、ウインターシリーズ化の構想について次のように補足する。
「それは我々が話をしているもののひとつだ。ただ、簡単にできることではない」
「マーケティングの面からは意味のあることだ。(シリーズを)“ル・マンへ至る道”として宣伝することができるからね」
この構想では、WECは秋の開幕になるという。また、現在は11月末で閉幕となるフライアウェイ戦も、4月からのヨーロッパラウンドに合わせて冬の間に散りばめられる形が考えられているようだ。
とはいえ、フィヨンとヌブーも、この構想を実現するためには克服すべき多くのハードルがあることを認めている。ふたりは、マニュファクチャラーやコンストラクターの開発スケジュールに影響を及ぼすことや、LM-GTEアマクラスに参戦している多くのエントラントがヨーロッパ近郊で開催されている他のシリーズにも参戦していることなどを指摘した。
なお、今年の9月からは、ウインターシリーズのフォーミュラEが開幕する。ヌブーはすでに、同シリーズを統括するアレハンドロ・アガグと会合し、両者のスケジュールがバッティングしないことを確認しているという。
またヌブーは、現在の8戦に加えてレースを行う可能性については否定的な考えを示している。