代わって予選トップを手にしたのはニコ・ ロズベルグ率いる初代王者ロズベルグXレーシング(RXR)、ヨハン・クリストファーソン/ミカエラ-アーリン・コチュリンスキー組となり、ここまで続いた予選での連続記録を止めると同時に、宿敵ハミルトンのチームを撃破してみせた。
明けた日曜午前のセミファイナル1からは、そのRXRとエキサイト・エナジー・レーシングのシャイダー/モリナーロ組が、同セミファイナル2からはJBXEと“帝王”カルロス・サインツ/ライア・サンズ組のアクシオナ・サインツXEチームがファイナルへと進出。敗者復活の“クレイジーレース”からは、アプト・クプラXEのナッサー・アル-アティヤ/ユタ・クラインシュミット組らのトラブルにも助けられ、CGRのNo.99 GMCハマーEVが最後のひと枠を確保する。
迎えたスタートでは砂漠の帝王サインツが抜群の蹴り出しを見せるも、すぐにパックに飲み込まれるとRXRのクリストファーソンと激しく接触。このアクシデントでWorldRX世界ラリークロス選手権4冠王者のマシンは、フロントボディワークの多くが失われたものの、リードを引き継いだままレースを続行。一方で派手なバレルロールを喫して即座のリタイアに追い込まれたサインツは競技を終了し、予防的検査のため地元の病院に運ばれることに。幸い、意識があった帝王はパドックに「大丈夫、元気だ」とのメッセージを送った。
この事故に動揺を抱えたRXRのエースは、手負いのマシンもあり2番手ルデュックに4.49秒差まで詰められドライバーチェンジ。1周目終了で車両回収のため赤旗中断となり、ミックスゾーン到着時点のギャップでリスタートが切られると、首位争いは引き続きRXRミカエラ-アーリン・コチュリンスキーと、CGRサラ・プライスの対決構図に。
ここで気を吐いたSTCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権初の女性ウイナーは、ダメージを抱えたマシンで10.363秒差までギャップを拡大してフィニッシュ。これでRXRの開幕2連勝が確定したかと思われた。
しかしレース終了後に、スチュワードはRXRに対しレースタイム30秒加算のペナルティを与え、これでクリストファーソン/コチュリンスキー組は3位に降格。代わって王者を追い詰めたCGRのふたりが念願の初勝利を手にした。
「今日はクレイジーレースを勝ち抜くために、やらなければならなかったことを全部やったわ。決勝でも一貫して競争力を保ち、戦いに勝ち抜いて最初の勝利を収めた。それはチーム全体の努力だったし、みんなをとても誇りに思っている」と、初優勝の結果を喜んだプライス。
そのまま練習走行なく週末の予選ヒートが開始された第3戦は、失意のクリストファーソンが汚名返上とばかりに奮起。RXRが予選最速から決勝も制圧し、初年度からの勝利数を通算“5”にまで伸ばす結果に。ファイナルのオープニングでRXRと緊迫のバトルを繰り広げたアプト・クプラXEは、クラインシュミットのシートベルト装着がうまくいかずに万事休す。
2位のX44に続き、最後のポディウムとなる3位にはジェネシス・アンドレッティ・ユナイテッド・エクストリームEのティミー・ハンセン/ケイティ・マニングス組が入っている。