レース折り返しまで5分となった2時間55分、首位走行中の7号車トヨタが突如ピットへ。電気系のトラブルを抱えたマシンはガレージに仕舞われ、マシン左側リヤを中心に作業が行われた。
ラップリーダーの脱落によりレースは8号車トヨタが総合首位に立ち、レベリオン3号車が2番手、バンドーンからビタリー・ペトロフにドライバー交代したSMP11号車が3番手に続くトップ3オーダーに。また、7号車トヨタは約10分間の作業の後に総合22番手/クラス6番手でコースに復帰した。
スタートから3時間25分過ぎ、サーキットは土砂降りの雨に襲われ、再びフルウエットコンディションとなった。この状況に30台強のマシンが続々とレインタイヤに切り替えていく。その後、天候が回復しレースは落ち着いた展開をみせるが、4時間15分頃からみたび激しい雪が降り始め、約5分後にSCがコースインしている。
このレース2度目となる雪のなかのSCランは約25分後に解除され、アロンソ駆る8号車トヨタを先頭に残り時間1時間14分でリスタートが切られた。2番手につけるのはSMP11号車、3番手にはレベリオン3号車が続くが、この2台はこの直後から2番手争いを繰り広げ、トーマス・ローランの3号車レベリオンがこれを制している。なお、トラブルに見舞われて遅れをとった7号車トヨタは、ここまでに4ラップスダウンながら総合6番手まで順位を挽回している。
チェッカーまで1時間を切った終盤戦も引き続きレインコンディションが続いていたが、残り42分となったところで雨脚が増したことで3回目のSCランとなる。雪混じりの雨の勢いが弱まるのを待って、残り15分のスプリントレースとしてリスタートが切られたが、再開からわずか4分後に天候悪化による赤旗が提示されレースは終了に。
この結果、ブエミ、一貴、アロンソ組8号車TS050ハイブリッドの総合優勝が決定。2位はレベリオン3号車、3位には一時レースをリードしたSMPの11号車が入った。7号車トヨタは総合6位でフィニッシュし、TOYOTA GAZOO Racingは最終戦を前に2018/2019年シーズンのチームタイトルを確定させることに成功した。
ELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズ王者のGドライブ・レーシングを迎え合計8台で争われたLMP2クラスは、ドラゴンスピードの31号車オレカ07・ギブソン(リカルド・ゴンザレス/パストール・マルドナド/アンソニー・デビッドソン組)が難しいレースで勝利を収めた。スポット参戦のGドライブ26号車アウルスはクラス2位、3位にはシグナテック・アルピーヌ・マットムートの36号車アルピーヌが入り、同じオレカ製シャシーではあるものの、3つのブランドが表彰台を分け合っている。
度重なる天候変化のなかでも終始激しい戦いが繰り広げられたLM-GTEプロクラスは、アストンマーティン・レーシングの97号車アストンマーティン・バンテージAMR(ニッキー・ティーム/マルコ・ソーレンセン組)がAFコルセの51号車フェラーリを退けシーズン初優勝を達成。アストンマーティンとしては上海以来、シーズン2勝目を挙げた。そのプロクラスから1年落ちのマシンを使用するLM-GTEアマクラスではデンプシー・プロトン・レーシングの77号車ポルシェ911 RSR(クリスチャン・リード、リカルド・ペーラ、マット・キャンベル)が6時間レースを制している。
第7戦スパを終えたWEC“スーパーシーズン”はいよいよ長いシーズンの最終戦、第87回ル・マン24時間を迎える。トヨタの2連覇がかかる同大会は6月12~16日にフランス、サルトサーキットで開催される予定だ。