この件以外は、決勝に向けた準備は2台とも概ね順調に進んでいるようだ。すでにFP2、FP4で、GR010でのル・マンの夜の走行を経験した平川は、次のように語っている。

「いわゆる夜用のタイヤ(低温向けソフトタイヤ)であれば、とくに問題はなく発動はしているのですが、3スティント(連続走行)とかをやったりする際には路温が変化することがあり、そこの見極めが難しいなと思ってます」

「自分が最初に履いたのは昼間(向け)のタイヤだったんですが、それだと少し難しい場面が……セーフティカーとかスローゾンが出たりすると不安な感じがあったりしたので、正しいタイヤチョイスができれば、(決勝でも夜は)問題なく走れるのかなと思っています」

フリープラクティスで夜のサルト・サーキットを走行する8号車GR010ハイブリッド
フリープラクティスで夜のサルト・サーキットを走行する8号車GR010ハイブリッド

 可夢偉もセットアップは順調に進んでいることを認めており、「あとは神のみぞ知る、という感じです」と語っている。

 既報のとおり、走行2日目となった木曜からBoP(性能調整)が変更され、ライバルであるアルピーヌA480・ギブソンの最高出力が引き上げられた。

 可夢偉によれば、トヨタ陣営はその上がり幅を「1秒」と見積もっていたというが、実際にはそれ以上タイムを上げ、ハイパーポールではニコラ・ラピエールが可夢偉のタイムに肉薄してきた。

「かなり三味線を弾いてたんだな、というのはあります」と語った可夢偉は、決勝レースにおける気になるライバルについて問われた際にも、「アルピーヌだと思います。最後の夜のセッション(FP4)のタイムを見たら速いのが分かります」と述べている。

 どれだけ周到に用意を重ねてきても、昨年の燃料系トラブルのように、必ずと言っていいほど“想定外”の事態が起こるのが、ル・マン24時間レースというもの。それを肌で感じているからだろうか、可夢偉、平川ともに、決戦を前にいつもより幾分“締まった”表情で受け答えをしていたのが、印象的だった。

※追記

 取材後、BoPは再度変更され、アルピーヌは決勝に向け出力削減を受けている。

トヨタGAZOO Racingでチーム代表を務めながら7号車をドライブする小林可夢偉

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