D’station Racing
Race Report – 2023.02.15
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2023 Asian Le Mans Series
Round 3 / 4 Yas Marina Circuit （UAE）
Round.3：FEB.18 Qualify ：18th / Race：6th
Round.4：FEB.19 Qualify ：19th / Race：DNF
浮き沈みが激しい週末に。ランキング9位でシリーズを終える
ドバイで行われたアジアン・ル・マン・シリーズ第2戦では表彰台圏内での戦いをみせ、ヨーロッパの強豪を相手に十分戦える手ごたえを得たD’station Racingは、クルマで1時間ほどの距離にあるアブダビに移動。F1も開催されるコースであるアブダビのヤス・マリーナに移動し、集中開催の2ラウンド目である2023年第3戦／第4戦の週末を迎えた。アストンマーティン・ヴァンテージAMR GT3にとっては、ドバイよりも相性が良いと推測されるコース。上位進出の手ごたえを得ながら、2月17日（金）にスタートしたプライベートプラクティスに臨んだ。
まずは走行開始から星野敏がステアリングを握り、ヤス・マリーナの走行の感触を掴みながら、8周を走りチャーリー・ファグに交代する。ただ交代してから4周目、ファグは高速コーナーで姿勢を乱し、激しくクラッシュしてしまった。
幸いファグに大きな怪我はなかったが、ヴァンテージAMR GT3は大きくダメージを受けてしまう。一時は決勝レースへの出走も危ぶまれるのではないか……という状況ではあったが、ともに戦うTF SPORT、アストンマーティン・レーシングの協力を得て、イギリスからパーツを輸送。翌日、予選が行われる2月18日（土）現地時間午前10時40分までに、車両修復を完遂してみせた。
とはいえ、走行初日からほとんど走れていない。特に藤井誠暢は0周だ。しかも、初日に行われたフリープラクティス1／2に出走していないため、規定上20分間の予選の間に、3人が出走し基準タイムを記録しなければならなかった。当然、予選アタッカーを務める星野にとって、満足にアタックできるような状況ではなかった。ベストタイムは1分55秒034で、第3戦のグリッドは18番手、セカンドベストでの第4戦は1分57秒329で19番手というグリッドとなった。しかし決勝は長い4時間レースで、追い上げは可能だ。エンジニアのジョナサン・リンは策を練った。
わずか3時間30分のインターバルで迎えた第3戦の決勝。スタートドライバーを務めたのは藤井で、走行時間が少ないハンデも感じさせず、アグレッシブに前を追っていく。しかし、1周目からLMP2、さらにGTクラスでアクシデントが発生。藤井はこれを避けていく。
ただ藤井の右側にいたGTクラスの他車が突如として進路を変え、アストンマーティンをはじき出してしまった。藤井はたまらずスピンを喫するが、どこにもぶつからずコースに復帰。直後にセーフティカーが導入されたことから、遅れを取り戻し順位を上げていった。最後は2番手まで浮上し、星野にステアリングを託した。
星野はトップ10圏内を着実に走行していくが、開始から50分というタイミングで、GTクラスの他車が激しくクラッシュ。ガードレール修復のため、レースは赤旗中断となった。難しい展開となったが、リスタート後も星野はスピンこそあったがしっかりとファグに繋ぎ、最後は7位でフィニッシュ。レース後、他車のペナルティにより繰り上がり、6位という結果となった。
3戦中2戦でポイント獲得を果たし、ランキング5位以上が見えはじめたD’station Racingは、第4戦へ大きな期待をもって臨んだ。前日とは異なりアクシデントが少なかった序盤、藤井はふたたび追い上げをみせると、トップ5を見据える位置でバトルを展開。欧州のトップドライバーたちを相手に周囲を唸らせるバトルを展開した。
交代した星野も順調に戦い、表彰台圏内が見えるレース運びをみせていたが、スピンやペナルティ、さらに他車の早いブレーキングによりフロントをヒットしてしまい破損。65周でレースを終えることになってしまった。
最終的なランキングは9位。さらに上位も狙えた状況ではあるが、3レースで表彰台争いができたことは、これだけの顔ぶれのなかで大きな自信となった。これから始まるWECへ向け、チームは中東の地で大きな手ごたえを得た。
COMMENTS：
Driver：Satoshi HOSHINO
アブダビのヤス・マリーナでの2レースを終えました。結果としては、第3戦は6位、第4戦は残念ながらリタイアとなってしまいました。ドバイ、そしてアブダビでの4レースを戦い、ヨーロッパの強豪チームを相手に入賞が2回、シリーズ9位という結果となりましたが、過去のD’station Racingの挑戦のなかでも最も良い成績で、嬉しさとチームの成長を感じることができました。一方で個人的には、ミスもあり反省しなければならない部分もあります。しかしこれをバネにして、3月から開幕するWEC世界耐久選手権では良いレースができるよう、さらなる努力をしてきたいと思っています。アジアン・ル・マン・シリーズでのご声援ありがとうございました。
Driver：Tomonobu FUJII
アブダビでの2戦は、走り出しのプラクティスでチャーリー選手のクラッシュがあり、レースに参加できないのではとも思ってしまう状況でしたが、TF SPORT、アストンマーティン・レーシングの協力もあり、なんとか修復し、かたちにすることができました。これが実現できたことも、チーム力がついてきた結果だったと思います。予選については、星野選手が上位にいける雰囲気があったのですが、クラッシュの影響で基準タイムをクリアするだけになってしまいました。第3戦は6位で内容も良かったです。第4戦ではリタイアになってしまいましたが、2戦ともうまくいけば表彰台は狙える展開でした。チーム力が結果に繋がってきた実感がありますね。WECも頑張ります。
Driver：Charles FAGG
第3戦は6位でフィニッシュすることができ、この結果でランキング5位以上が見えてきて、最終戦を迎えるにあたって大きな期待があったけれど、残念ながら最後のレースは接触があったりして、フィニッシュすることができなかった。表彰台の可能性が高かっただけに、とても残念に思うよ。この週末は、僕自身のクラッシュですごく困難なものにしてしまったと思う。D’station Racingのみんなが頑張ってくれたおかげで予選までにクルマを戻すことができ、チームスタッフに感謝しているよ。ただ、僕たちが望むリザルトには少しの幸運が足りなかったみたいだ。星野サン、藤井サンという素晴らしいチームメイトを誇りに思うし、今季のWECでの活躍を願っているよ。
Team Director：Tom FERRIER
ドバイから続く2週間の戦いも、アブダビでのレースですべて終えることになった。D’station Racingとして、ドバイではトップ争いもみせることができたし、アブダビでも表彰台を争う位置を何度も走ることができたので、ドライバー、チームとすべての力が上がってきたことを証明できたと思う。アブダビについて言うと、良い部分も悪い部分もあった。良かったところとしては、星野サンのスピードが昨年よりも上がっており、アベレージタイムも良くなっている。それがチームとしての結果に直結しているのではないかと思っているよ。WECに向けて中東での4レースは我々チームスタッフ、ドライバーにとっても良い経験になったと思っている。
Chief Engineer：Jonathan LYNN
アブダビでのレースウイークはチャーリーのクラッシュから始まってしまい、一時は出走できないかとも思ったが、なんとかチームワークで乗りきることができた。まずはレースを戦うことができたことをうれしく思っているよ。予選ではアタックができず後方からの戦いになってしまったが、それでもなるべく上位につけられる戦略を考えていった。結果的に第3戦、第4戦とも表彰台が見える位置でレースを戦うことができたので、戦略やペースは良かったと思う。第4戦でリタイアになってしまったことは残念だったが、この2週間で、D’station Racingが世界のトップと戦う力をみせられたと思うので、その点は満足しているよ。
