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ル・マン/WEC ニュース

投稿日: 2023.09.07 07:01
更新日: 2023.09.07 07:02

「ラテン気質で、ときどき爆発する」イタリアンに、魚嫌いのイタリアン【WEC俺の相方“キャラ”紹介(4)フェラーリ編】

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ル・マン/WEC | 「ラテン気質で、ときどき爆発する」イタリアンに、魚嫌いのイタリアン【WEC俺の相方“キャラ”紹介(4)フェラーリ編】

 続いて今年のル・マン優勝トリオである51号車。こちらは、アレッサンドロ・ピエール・グイディに話を聞いた。

 ピエール・グイディはバリバリにイタリアンな39歳。両親が連れて行ったカートレースに魅せられ、3歳の時には自宅の庭でカートに乗り始める。2005年にはスペインとイタリアのGT選手権に出場、イタリア選手権のチャンピオンに。2007年にはFIA GTに参戦すると同時に、イタリアF3000にも参戦した。スポーツカーに転向した後、2014年には、デイトナ24時間レースのGTDクラスで優勝するなど活躍を見せた。同年、AFコルセからWEC最終戦にシリーズデビュー。この時はLMGTEアマクラスだった。

 2016年にはやはりAFコルセからLMGTEプロクラスでル・マン24時間に参戦している。2017年からはフェラーリと契約し、プロクラスでフル参戦を開始すると、その年早くもクラスチャンピオンに輝いた。そして、今年はハイパーカーにステップアップ。見事、ル・マン で総合優勝を飾った。

 テレビ中継で見るピエール・グイディは、いつも熱い感じだが、実際はどんな人なのか? まずは自分自身のことを語ってもらった。

「僕はホットじゃなくて、いつも冷静なドライバーだよ。もしかしたらホットに見えるかもしれないけど、正直なところ、冷静なんだ。まあ、イタリア人で、ラテンスタイルではあるけどね」

 そのラテンなところが、日本人から見るとホットに映るわけだ。ちなみに、モリーナ同様、フェラーリのオフィシャルYouTubeで暴露していたが、ピエール・グイディはイタリアで工学系の大学を卒業しているという。「あまりこのことは表で言いたくないんだ」と、YouTubeでは語っていたが……。

フェラーリAFコルセの51号車でWECに参戦、ル・マン24時間で総合優勝を飾ったアントニオ・ジョビナッツィ、ジェームス・カラド、アレッサンドロ・ピエール・グイディ
フェラーリAFコルセの51号車でWECに参戦、ル・マン24時間で総合優勝を飾ったアントニオ・ジョビナッツィ、ジェームス・カラド、アレッサンドロ・ピエール・グイディ

 そのピエール・グイディとLMGTEプロクラス時代からチームメイトとして組んできたのが、ジェームス・カラドである。

 カラドは、イギリス出身の34歳。幼少期からカートを始めるも資金はそれほど潤沢でなく、当時はホテルに宿泊する余裕も、レインタイヤを買う余裕もなかったという。雨が降ってもスリックで走っていたため、いまでも“レインダンサー”らしい。それでも、ICAジュニアのヨーロッパ選手権では、セバスチャン・ブエミやハイメ・アルグエルスアリなどを打倒したりもしている。

 2008年にはフォーミュラ・ルノーで4輪にステップアップ、以降2010年にはイギリスF3、2011年からはGP3にフル参戦。同年にはGP2にもスポットで出場し、2012年と2013年にはGP2にフル参戦した。GP2の2年目は、サハラ・フォース・インディアのテストドライバーも務めた。2014年からAFコルセのドライバーとなり、WECにフル参戦を開始。前述の通り、2017年にはクラスタイトルを獲得した。

フェラーリAFコルセの51号車フェラーリ499P
フェラーリAFコルセの51号車フェラーリ499P

 また、もう1人のチームメイト、アントニオ・ジョビナッツィは、イタリア出身の29歳。チームの中では一番の若手だ。

 ジョビナッツィは6歳の時にカートを始め、数々のタイトルを獲得。2012年には、フォーミュラ・ピロタ・チャイナでシングルシーターデビューし、2013年には英国F3にステップアップ。同年、ヨーロピアン・チャンピオンシップにも参戦を開始。2015年まで、ヨーロピアン・チャンピオンシップにフル出場し、翌年はGP2シリーズにステップアップしてシリーズ2位。そのかたわら、スポット参戦ながらエクストリーム・スピード・モータースポーツからWECにデビュー。ELMSにもスポット参戦した。

 2017年にはザウバーからスポット参戦でF1デビュー。2019年から3年間は、アルファロメオ・レーシングのレギュラードライバーとしてフル参戦した。同時に、現在までスクーデリア・フェラーリのリザーブドライバーも務めている。2021/2022シーズンは、フォーミュラEにも参戦。そして、今年は2016年以来、7年ぶりとなるWECにハイパーカードライバーとしてフル参戦を開始した。

 前置きが長くなったが、ピエール・グイディから見たふたりは、どんな存在なのか。

「ジェームスとは長い間、一緒に組んでいるんだよね。ジョビは同じイタリア人で、すごく速いドライバーだ。彼とは今年初めて一緒にレースしている」

「僕ら3人はとても似ていると思う。だけど、レーシングドライバーはほとんどみんな似ているんじゃないかな。ただ、僕らはいつも冗談を言い合ったりしているし、とてもファニーだ。サーキットの外ではね。でも、いったんガレージの中に入ったら、レースに集中している」

「みんなが好きなのは、自転車に乗ることだね。僕自身、自転車が趣味で、情熱を傾けているよ。それから僕は、寿司を食べない。日本の人たちには申し訳ないけど、僕は魚が嫌いなんだよ。でも、チームメイトは寿司が好きだ。だから、僕はいくら魚が嫌いでも、彼らと一緒に寿司屋に行かなければならない時もあるんだ(苦笑)」

「また、僕とジョビはふたりともモナコに住んでいるから、一緒にサイクリングしている。レースウイークは自転車に乗る時間がないから、一緒に走ったりしているよ」

 英語がそこまで得意でないこともあってか、ピエール・グイディはあまり性格の部分について突っ込んだ紹介はしてくれなかったものの、F1でのキミ・ライコネンとのやり取りなどを見ているとジョビナッツィは“いじられキャラ”に見える。一方、カラドは結構真面目なタイプに見えるのだが、それは彼が母国の基金を始め、いろいろな人たちの助けを受けてステップアップしてきたからなのかもしれない。

取材に応えてくれたアレッサンドロ・ピエール・グイディ
取材に応えてくれたアレッサンドロ・ピエール・グイディ


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