空力開発にはパラメトリック法といって、基準となる状態をもとにサイズや角度、屈曲点などを微妙に変えて性能の高いバリエーションを選び、選んだバリエーションを基準にして再度パラメーターを振り──という作業を繰り返していく開発手法がある。どんどん形状が細かくなっていくのは、このためだ。これだけ細かいと、新しいバリエーションを投入することによるゲインは、ほんのわずかだろうが、その積み重ねが大きなゲインに結びつく。それにしても凝り過ぎ(凝った代償としてドラッグも大きそう)に見えるが……。
翼端板やフロア、リヤタイヤの内側における凝り具合に目を奪われがちだが、マクラーレンMP4-31のリヤセクションにおけるハイライトは、サスペンションの処理だ。2014年にビームウイングが廃止されて以来、リヤサスペンションのアームをビームウイング代わりに利用する(整流効果を持たせてディフューザーの機能を高める)のがトレンドで、そのマクラーレン的解釈が見られる。
ロワ側はドライブシャフトとアームを偏平なフェアリングで覆っているのだろうか。2014年のMP4-29は上下の後側アームを衝立状に成形したが、あれは、いかにもドラッグ(空気抵抗)が大きそうだった。今回のソリューションは、いかにもスマートで、その周囲が凝りに凝っているだけに際立って見えてしまう。
1 2