現在のF1では、フォーメーションラップの発進時と、本番のスタート時ではエンジンモードを異なるセッティングにしておく必要がある。フォーメーションラップでは燃料流入量を極力抑えて燃料を節約するとともにERSエネルギーを蓄電しておきたいからだ。逆に、本番のスタートでは燃費よりもフルパワーで走ることを優先する。ロズベルグの場合、これはステアリングの左下にあるエメラルドグリーンのダイヤルを回して切り替えている(トップ写真:赤の矢印で示している部分/写真はオーストラリアGPのもの)。
しかし、本番のスタート時はボタン(上写真:赤の矢印/写真は2015年ベルギーGPのハミルトン)を押して、レーススタートモードを適用する。今回ロズベルグは1コーナーまでは間違った設定のままスタートしていることに気がつかなかった。ロズベルグのマシンに異変が起きたのは2コーナーを立ち上がって、モードがリセットされた直後だった。3コーナーへ向けて再び加速を始めたとき、エンジンが回生モードに入ってしまい、加速が鈍ったのである。それはハミルトンのオンボードカメラの映像で、ロズベルグのテールランプが点滅していることからもわかる。
最後に会見を行ったロズベルグも、その件は認めている。