スタート25分前、北から雨雲が来た。旧ピットストレートのあたりは土砂降り、南側ハンガー・ストレートはそうでもない。濡れ乾きハーフ&ハーフの路面コンディションを、観戦に来ているチーム従業員がスポッターとして報告する。ドップラー・レーダーよりも貴重な情報だ。セーフティカー(SC)先導スタート、全車ウエットタイヤ装着が決定。ポールシッターにとっては望ましくない。SCペースに従わねばならず、2位以降は間隔を調整しながらウォームアップできるからだ。

 1周目は3分オーバー、2周目は2分54秒、2分52秒、2分49秒と懸命にSCドライバーはペースアップ。それでもリヤブレーキとタイヤが冷えるとハミルトンは悲鳴を上げながら、テンションを上げていく。

 5周目にSCが退去すると、先頭ハミルトンはブレーキングポイントを懸命に探り、突っ込みミスを避けつつ水煙をニコ・ロズベルグに浴びせた。前を行くアドバンテージと水たまり路面に最初に突っ込むリスクは、イーブン。そこをしのぎ路面状態を見きわめ、7周目にインターミディエイトヘ。意識的にアクセルオンを強めて、リヤの発熱を促す走り。やりすぎるとスピンする“水上の綱渡り”で、2位を争うロズベルグとマックス・フェルスタッペンを引き離す。

 17周目にミディアムタイヤへ交換。トップを行くハミルトンは、すでに6秒以上リードしていたが28周目の1コーナーでオーバーラン。大ピンチの瞬間、2番手フェルスタッペンもふくらんだ。中盤ここでコースオフが相次いだ原因はシンプルだ。まだバンプに水たまりがあり、ラインが乱れる。スピンしたマシンが水を周囲にまき散らす。乾きかけていたはずのラインが濡れて、後続車もスピン。この連鎖が、しばらく続いた。

 難攻不落のシルバーストンを制するには、マシンもパワーユニットもタイヤも戦略も最高レベルでなければならない。それに加えて濡れ乾きの路面では、とくにドライバー力が求められた。勝ってはしゃぎ、これ見よがしにファンサービスに興じたハミルトン。あえて言うなら、これをロズベルグはしっかり見届け、3位降格にも気落ちすることなく立ち向かうべきだ。7月の前半戦は1点差で折り返し、夏のチャンピオンシップに火がついた──。

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