考えられる理由は、ホンダのパワーを考慮して、少しでもストレートスピードを上げるためだったのではないだろうか。
 ホンダはベルギーGPに7トークンを使用した新しいスペックのパワーユニットを投入した。それにより、デプロイはライバル勢に対して引けを取らなくなったものの、エンジンそのもののパワーでは依然としてギャップがあることも露呈した。マクラーレンはそれを考慮してファクトリーでシミュレーションにかけ、ベストな空力パッケージを選択して、シンガポールへマシンとパーツを送り込んだわけだ。

 しかし、ホンダもイタリアGP後にHRDさくらで制御系のソフトウェアを最適化していた。それにより、若干ではあるが、コース上でのパワーが予想よりも上がっていた可能性が考えられる。

 そのことを如実にあらわしているのは、レース序盤のダニール・クビアトとのバトルだ。序盤、アロンソの背後にはクビアトが約1秒差で迫っていたが、DRSが使用可能になってからも、クビアトが2本あるストレートで、いずれもアロンソのスリップストリームに入ってオーバーテイクすることはなかった。

 さらに燃費も改善されている。シンガポールGPはドイツGPと同様、燃費に厳しいサーキットだが、ドイツGPでは周回遅れにされたものの、シンガポールGPでは同一周回でフィニッシュしている。現在のパワーユニットは燃費向上=パワー向上を意味する。
 残る3トークンをどこで使用してくるのか。ホンダパワーはまだ改善する余地を残している。

ホンダ辛口コラムはF1速報公式サイトで連載中
ホンダ辛口コラム シンガポールGP編:メッキがはがれたマクラーレン。ホンダに対し潔く非を認めよ

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