──それは、けっこう大きいですね。
田辺TD:さきほどの1円、2円に比べれば、たしかにそうです。無制限の開発に歯止めを掛けるという、象徴的な意味合いのある規制だと思います。
ただ、単気筒の開発は制限されてませんし、CFD(数値流体力学解析)などのシミュレーション系の開発も制限はない。ですがホンダとしては今後、テスト効率をさらに上げていくなど、賢いやり方を進めて行くつもりです。開発スタイルを変えるということですね。
昔のように、とりあえず作って、とにかく回すというところからは、すでにかなり変わってきている。その流れを、さらに加速させるということですね。
机上できちんと評価して、モノを厳選して、単気筒テストを効率よく、賢く行って、V6で最終確認というようなやり方にしていく。ベンチでの確認手法にしても、今以上に精度を上げる必要はありますね。
──これまで行われてきた年間基数制限は、実際のところどれほど効果があったんでしょう?
田辺TD:どうでしょうね。というのもわれわれが参入した時には、すでに基数制限が導入されてましたから。徐々に絞られて行った時期を知っていたら、もう少し、しっかりお話しできたと思うのですが。
パワーユニットは長く使おうとすると、どうしてもお金がかかる部分がある。たとえば同じ重さのパーツで、同じ機能で、なおかつ長持ちさせようとしたら、より高価な材料を使うしかない。
その損益分岐点というか、クロスオーバーをどこでさせるかの見極めも難しい。パーツによっても違いますけど、年間3基と言われてたのを2基にすることになった。そのために材料を替えたら、テストも重ねないと行けなかったりして、結果的に高く付きかねない。2基の方が、よほどお金がかかるということになりかねない。基数制限を厳しくすればいい、というものではないと思いますね。
