これを2メートル離れた右隣で聞いていたルクレールも、「僕もチームとして仕事することも大切だと思っているけど、これまでどおり、バトルするよ。セバスチャンとはマシンを降りれば、お互いリスペクトしているから問題ない」と、チームオーダーに関してはそれほど期待していない様子。むしろ、ルクレールにとって気がかりなのは、フェラーリのマシンのパフォーマンスのようだった。
「今年は簡単にはいかない、すごくチャレンジングなシーズンになると思う。まだいくつものクエスチョンマークが残っていて、確実なことを言うには開幕戦の予選まで待たなきゃならないけど、昨年より苦戦するのは99%間違いないと思う」(ルクレール)
4カ月間の休止期間中には、新型コロナウイルス感染症だけでなく、アメリカに端を発したBlack Lives Matter(BLM)の運動も起き、いまなお世界中から注目を集めている。Black Lives Matter(BLM)は、黒人に対する暴力と社会システム全体に広がる人種差別の根絶を訴える人権運動で、和訳すると「黒人の命は大切だ」となる。
F1界初であり、現時点で唯一の黒人ドライバーであるルイス・ハミルトン(メルセデス)は、この問題についてSNSを通してさまざまな主張を投稿してきたひとり。オーストリアGPのレース前にBLMに賛同する意味で、ドライバーたちとともにひざまずく予定はあるのかと尋ねられたハミルトンは、こう回答した。
「まだみんなとは話をしていないんだ。でも、それについては何度も質問されているけど、僕にとっては、ここでひざまずくことが最優先事項じゃない。大切なことは、継続すること。1回だけ何かやって、やめたんじゃ意味がない。不正と不平等を終わらせるために本気で戦う必要があるからね。まあ、日曜日になれば、わかるよ。何をやるにしても、みんなで団結してやりたい。僕らが結束することがこのスポーツにとって大事だから」