当時ニューウェイは「マシンデザインの最優先事項はエアロダイナミクス。ここから他のデザインのすべてが発生する。それからサスペンション、エンジンの順だが、コンストラクターにとってエンジンは思いどおりにできないことが多すぎる。できるだけパワーがあり、信頼性の高いエンジンが欲しいとしか言えない」と述べている。
「エンジンは自分の意思でどうすることもできない」と言いながらも翌89年、ニューウェイは低重心化を目指してジャッドに狭角76度のV8エンジン、“EV”を専用に作らせ、881のエアロダイナミクスをさらに突き詰めた『CG891』をデザインした。
ところが神経質すぎるマシンはセッティングが決まれば圧倒的な速さを見せたが、後方グリッドに沈むことも少なくなく、予選落ちも経験した。ジャッドEVの信頼性不足も足を引っぱり、さらなる飛躍を目指したカペリは1度も入賞できず、グージェルミンも旧型881で臨んだ開幕戦こそ3位表彰台に上がったが、それ以降は入賞することさえなかった。ニューウェイの思想に結果が伴うまではまだもう少し時間が必要だった。
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