フェルナンド・アロンソ欠場で一大事のマクラーレン、ジェンソン・バトン3位は朗報だ。セクター1がフェラーリ以上(!)、低温条件でタイヤ発熱が一気に上がり、1周グリップをキープできていた。彼独特のきれいなラインに見てとれる。

 アロンソ欠場について私見を。「外傷性気胸症」は肋骨の損傷しだいで完治までに時間を要すると知人の医師に聞いた。痛みを自覚しなくても、たえずGフォースを受けるだけに、また小さなクラッシュを犯したらリスクが一層高まる。だからドクターストップ判断になったのだろう。アロンソの肋骨の状態が復帰への鍵を握る、とだけしか、いまは言えない。

 岡山でのスーパーフォーミュラテストを1日で切り上げて移動するのは想定済み。ストフェル・バンドーンに驚いたのは、セクター2でバトンを上回ったこと。1月末にポールリカールで約700kmのウエット・テストをしていても、今季ニューマシンは初めてで、スーパーソフトタイヤも初めて。3月12日、鈴鹿で彼のスーパーフォーミュラ走行を現場で取材して、きっちり着実に落ち着いてアプローチする態度を感じた。いいとこ見せようとか、やってやろうとかいう性格ではなさそうだ。“アロンソ監督”のアドバイスによって、ピンチにあるチームの結束力を、彼が高められるのではないか。

 拮抗するサードパーティー、ここも初日から見どころたくさん。ひとつだけ挙げると、トロロッソのマックス・フェルスタッペンがFP2で4位、タイヤ発熱特性が非常に良いSTR11も冷え冷えで苦心しながらの好タイム。戦力的にダークホースのチームに推したい。ウイリアムズは「土曜に到着するニューノーズ待ち(マッサに優先権?)」。フォース・インディアはタイヤを「考えすぎ」? レッドブルは「ダウンフォースつけすぎ」で、その合間を縫って、またハースが行くのか。

 金曜を見て感じることが、いろいろいっぱいある今シーズンは面白い。最後に言えば、19位マノーのパスカル・ウェーレインのタイムは、昨年Q1最速ハミルトンと、たった0.025秒差。速いぞ、今年のF1。わかっていないのは、ひと握りの権力者たちだけだ──。

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