ダンロップは2日、『未来のレースカーへの挑戦』と名付けられた報告書を公開した。

 この報告書は、未来のレーシングカーの形を、現在ある技術、そしてその進化から“予測”したもので、現在のレーシングカーとは大きく異なった姿を描き出している。

 まず推進機構は、これまでのような内燃機関(つまりガソリン/ディーゼルエンジン)ではなく、非常に強力な電気モーターと、リニア誘導式の“プラズマスラスタ”と呼ばれるジェット推進機構を組み合わせたモノになると示唆している。

 プラズマスラスタは、人工衛星などで使われているイオンエンジンなどと同様の物で、非常に少ない燃料で推進力を得ることができるシステム。電子とガスを衝突させることでプラズマを発生させ、それを超伝導コイルによって誘導することで、推進力を取り出すという。

 今回の報告書をまとめたイアン・ピアソン博士は、「軍はすでにこの技術を使った兵器を試作しており、将来レースカーの分野に同様の技術を持ち込むことができる」と語っている。

 一方シャシーには、カーボンナノチューブなどの非常に強く軽量な新しい素材が使われるという。カーボンナノチューブは極細の炭素繊維だが、アルミの半分程度の重量で、しかも引っ張り強度はダイヤモンドよりも強く、将来の活用が有望視されている素材である。

 新素材の採用と共に、レース中にマシン形状を変形させるシステムも採用されるだろうと、報告書には記されている。加熱と冷却によって収縮・膨張する高分子ゲルを使い、空力性能やハンドリング性能の向上に貢献することができるという。ピアソン博士によれば、「ウイング形状を調整するか、車両床面両サイドのスカートを変化させるか、グラウンドエフェクト効果を変化させる」ことで、各セクションで最適の空力性能を発揮させることになる。

 またこの技術は、レーシングタイヤにも組み込まれる可能性があるようだ。レーシングタイヤのトレッド面を変化させることで、グリップ性能を可変化させるという。また、タイヤの摩耗が進行した際、新たなトレッド面を構築することも可能だというのだ。

 これらの技術が投入されると、将来のレーシングカーは今のトップクラスのレーシングカーに比べて5倍の加速度とそれに対応するためのブレーキ性能を有することになる。これは、人間が対応できる物理的な限界を超えてしまうことになるため、ドライバーはアンドロイドに託されることになるという。ピアソン博士は「アンドロイドは非常に強い勝利への意志を持ち、優れた反応と高いスピードでのコントロール能力を兼ね備えている。これにより魅力的なイベントを、観客に提供できるはずだ」と語る。

 また観客は、アクティブスキンと呼ばれるシステムを介することで、レース中にドライバーが感じる感覚を、体感することもできるようだ。

 この報告書を基に、今後モータースポーツファンやレース業界の専門家と様々議論されるという。

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