F1全レースで全ドライバーを10点満点で評価している英AUTOSPORTが、各ドライバーごとに2014年の平均点を割り出し、総合ランキングを決定しました。今回はその中のトップ10のドライバーを紹介いたします。
英AUTOSPORTのF1担当者エド・ストロー氏は、毎グランプリ、さまざまな情報(ラップタイム、チームからのフィードバック、バトルにおいてのパフォーマンス、ミス、チームメイトと比較したペース)を元にして、各ドライバーを10点満点で採点しています。
今回は「英AUTOSPORT 2014年ドライバー評価総集編 第三弾」として、11チーム22人のレギュラードライバーの全戦の平均点に従って導き出されたランキングのうち、上位10人を紹介します。
なお、「第一弾 小林可夢偉選手の全レース評価」「第二弾 ドライバー評価Ranking22位~11位」については以下のリンクからご覧いただけます。
■「可夢偉は苦境の中で価値を見せつけた」:英誌評価 2014年総集編
■「可夢偉の決断は正しかったのか?」ドライバー評価Ranking(1)22位~11位
それでは10位から順にカウントダウンし、英AUTOSPORTの総評もあわせてご紹介いたします。
10位 ダニール・クビアト(トロロッソ):平均7.2点
「F1デビューは時期尚早ではないかとの声もあったが、最初の2戦で入賞を果たし、そういった懸念を払拭した。テストでレースシミュレーションを一度も行えないままシーズンに臨んだことを考えると驚きの結果だった」
「予選ではチームメイトのジャン-エリック・ベルニュより優れていた。ただしベルニュにはクビアトより体重が重いというハンデがあったことは確かだ」
「レースではベルニュの最高レベルに匹敵するパフォーマンスを見せることはできなかったが、シーズンが終盤に近づくにつれて安定感が増し、F1ドライバーらしくなってきた」
9位 フェリペ・マッサ(ウイリアムズ):平均7.3点
「フェラーリ時代の終盤よりずっといい走りをしたが、物事が悪くなる方向を選んでしまう傾向は変わらない」
「カナダでのクラッシュは彼に落ち度はないけれど、たとえばドイツのスタート時のケビン・マグヌッセンとのクラッシュに関してはマッサにも非があった」
「とはいえシーズン終盤に3回表彰台を獲得、きちんと結果を出す力があることを示した。1年前には将来が明るいとは思えなかったが、今はいい状態で見事な仕事をしている」
8位 セバスチャン・ベッテル(レッドブル):平均7.3点
「見た目ほど悪いシーズンではなかったが、期待には遠く及ばなかった」
「エキゾーストブローイングの効果を得られないマシンに適応するのに非常に時間がかかり、進歩はしたものの、チームメイトのダニエル・リカルドのレベルには到達できなかった」
「かつてほどのモチベーションも感じられなかった。フェラーリに移籍することで再び活力を取り戻すかもしれないが、いい結果が出せるようになるには時間はかかるだろう」
7位 ニコ・ヒュルケンベルグ(フォース・インディア):平均7.3点
「シーズン前半は安定していい結果を積み重ね、選手権上位に位置していた」
「シーズン後半はマシン開発が進まないこともあり、前半ほどの印象的な戦いはできなかった」
「彼が100パーセントの戦いをしているのかどうかチーム内で疑問も出たが、終盤2戦でトップレベルのパフォーマンスが戻ってきた」
6位 ジェンソン・バトン(マクラーレン):平均7.5点
「2014年シーズン末に向けてバトンのF1キャリアは終わりに近づいているように思えたが、マクラーレンが改善するに従って彼のパフォーマンスも向上した。終盤5戦にトップ5フィニッシュを5回成し遂げ、自分の価値をチームに改めて示した」
「一般に考えられているより彼の予選ペースは優れている。一方で彼が本当に輝くのは日曜のレースであり、しばしばチャンスを見つけ出して素晴らしい結果を生み出した」
5位 バルテリ・ボッタス(ウイリアムズ):平均7.6点
「ボッタスは2013年に競争力の低いウイリアムズで見事なパフォーマンスを見せたので、今年大きく向上したマシンに乗って一貫して素晴らしい結果を出したことに驚きはない」
「序盤は少し攻めすぎるところもあったが、シーズンが進行するにつれ、落ち着いて上位で戦えるようになった」
「何度かスタートがうまくいかずに表彰台を逃したレースがあったが、全体的に素晴らしいパフォーマンスを発揮したし、開幕戦に大きなミスをして以来ミスはほとんど犯さなかった」
4位 ニコ・ロズベルグ(メルセデス):平均8.0点
「予選の走りは素晴らしく、チームメイトのルイス・ハミルトンを12対7で破った。だが残念ながらそれを毎回レースでいい結果に結びつけることはできなかった」
「彼は5勝を挙げたが、他にも勝てるレースはあった。バーレーン、イタリア、日本、ロシア、アブダビでは優勝の可能性があった」
「それでもロズベルグは最終戦までタイトルを争い、劣勢から立て直す能力が非常に優れていることを証明した」
3位 フェルナンド・アロンソ(フェラーリ):平均8.3点
「今年フェラーリは低迷し、アロンソはチーム離脱を考え始めたが、そんななかでもいつもの高水準のパフォーマンスを発揮し続けた」
「彼の100パーセントの力が出ていないかもしれないと思われる瞬間も全くなかったわけではないが、それでもチームメイトのキミ・ライコネンより圧倒的に優れた結果を出し、最終戦までランキング4位争いにとどまり、彼のパフォーマンスレベルの高さを証明した」
「コース外ではさまざまなことが起こっていたにもかかわらず、アロンソは自分のやるべき仕事をやり遂げた」
2位 ダニエル・リカルド(レッドブル):平均8.5点
「トロロッソ時代から彼が速いのは明らかであり、ベッテルを予選で苦しめたのは意外ではなかった」
「だが驚いたのは、彼はレースではもっと優れた走りをしたことだ。ロングランペースとタイヤマネジメントは見事であり、バトルに関しては他のどのドライバーより優れたドライバーであるといっていいだろう」
「何より素晴らしいのは毎戦一貫していいパフォーマンスを発揮する能力であり、不利な状況になってもそこから挽回する能力だ」
1位 ルイス・ハミルトン(メルセデス):平均8.9点
「『2014年のパワーユニットとレーシングスタイルの変化に彼はうまく対処できるだろうか?』 シーズン前のそういった疑問にハミルトンははっきりとした答えを出した」
「ハミルトンはタイヤマネジメントにおいてこの数年で大きく進歩してきたのは明らかであり、彼の適応能力に懸念があるわけではなかったが、チームの人々でさえも今年はロズベルグの方が有利かもしれないと予想していたのだ」
「しかしハミルトンは見事な走りをし、シーズンを通してレースではロズベルグより圧倒的な強さを見せた。彼は今年のチャンピオンにふさわしい」
最後に全22人のランキングをまとめて紹介いたします。ちなみにチーム代表の投票による2014年トップ10ドライバーはこういう結果になっています。
英AUTOSPORTの評価による2014年全ドライバーランキング
1.ルイス・ハミルトン(メルセデス):平均8.9点
2.ダニエル・リカルド(レッドブル):平均8.5点
3.フェルナンド・アロンソ(フェラーリ):平均8.3点
4.ニコ・ロズベルグ(メルセデス):平均8.0点
5.バルテリ・ボッタス(ウイリアムズ):平均7.6点
6.ジェンソン・バトン(マクラーレン):平均7.5点
7.ニコ・ヒュルケンベルグ(フォース・インディア):平均7.3点
8.セバスチャン・ベッテル(レッドブル):平均7.3点
9.フェリペ・マッサ(ウイリアムズ):平均7.3点
10.ダニール・クビアト(トロロッソ):平均7.2点
11.ロマン・グロージャン(ロータス):平均7.1点
12.ケビン・マグヌッセン(マクラーレン):平均7.1点
13.ジュール・ビアンキ(マルシャ):平均7.1点
14.ジャン-エリック・ベルニュ(トロロッソ):平均7.1点
15.セルジオ・ペレス(フォース・インディア):平均6.3点
16.キミ・ライコネン(フェラーリ):平均6.2点
17.小林可夢偉(ケータハム):平均6.2点
18.マーカス・エリクソン(ケータハム):平均6.1点
19.エイドリアン・スーティル(ザウバー):平均6.1点
20.パストール・マルドナド(ロータス):平均6.0点
21.エステバン・グティエレス(ザウバー):平均5.7点
22.マックス・チルトン(マルシャ):平均5.3点