WEC世界耐久選手権のLMP1クラスで技術的な均衡を図るための“イクビアランス・オブ・テクノロジー(EoT)”の開幕3戦の数値が発表された。ここまで公開されていた数値と比べると、ガソリンエンジン搭載車の数値が上昇している一方、ディーゼルエンジン搭載車は下方修正を受けている。
今季WECのLMP1クラスでは、ワークスチームにハイブリッドシステムの搭載を義務付けた新たな車両規則が導入。また、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンなど異なる技術が同じフィールドで争う中で、各技術の勢力を均衡化するため、EoTと呼ばれる性能調整が実施される。
調整は、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンで大別されているほか、ハイブリッドシステムで1周あたりに放出することのできる電気エネルギー量(2MJ/4MJ/6MJ/8MJ)によってその値が変わってくる。今回発表になったEoTでは、全体としてガソリンエンジンに対する数値が緩和された一方、ディーゼルエンジンに対しては下方修正がなされている。
ガソリンエンジンを搭載するトヨタとポルシェはともに6MJを選択しているが、1周あたりの“燃料での放出エネルギー量”が、これまで公表されていた137.5MJから、139.5MJへと上昇(=1周あたりの燃料使用量が増加)。また、燃料搭載量も66.9リッターから68.3リッターへと僅かに上昇している。
一方、アウディはディーゼルエンジンを搭載し、2MJを選択しているが、1周あたりの“燃料での放出エネルギー量”は140.2MJから138.7MJへと減少(=1周あたりの燃料消費量が減少)。燃料搭載量も54.8リッターから54.3リッターへ縮小されている。
なお、これらの数値はル・マン24時間が行われるサルト・サーキットでのもので、シルバーストン/スパ・フランコルシャンでは、それぞれサーキットの全長に応じて同等の性能となるように数値が設定されている。
この値は、3月末に開催されたポール・リカール・サーキットでの公式テストまでのデータをもとに定められたものとなっているが、テスト前に、3メーカーには非公式に数値が明かされていたという。ただ、その際にチームに伝えられた数値は公開されておらず、その数値から今回公開された数値にどの程度の変化があったのかは不明だ。
また、この数値は、今年のル・マン24時間終了後まで継続される。数値の再設定は、ル・マン後から9月の第4戦オースティンまでの間に変更がなされ、そこで決定した数値は15年のル・マン24時間終了時まで継続することとなる。