8度目のタイトル獲得が懸かったセバスチャン・オジエ（トヨタ・ヤリスWRC）のご両親も、現役チャンピオンをフィニッシュ地点で待ち構えます。
オジエ・パパに関しては、毎戦来ているんじゃないかと思うほど頻繁にWRCの現場で姿を見ていましたが、来期からはその機会も減るんだろうなぁ。
オジエたちがトップでフィニッシュすると、嫌な予感が的中。観客が煙を焚いてドライバーが隠れるわ、人が流れ込むわ、現場はぐちゃぐちゃ。折角のシーンが靄の裏に……。
煙が引いた良い頃合いに、今シーズン限りでコドライバーを引退するジュリアン・イングラシアがヤリスWRCの上に立ち、気持ちを放出。観客に丁寧にお辞儀していたのも印象的でしたが、うっすらと涙を浮かべている姿に、ぐっときてしまいました。
コドライバーは、クールで一歩引いたような印象があった私ですが、ジュリアンはフォルクスワーゲン時代の頃から喜びや気持ちをちゃんと表現してくれて、私の固定観念を一蹴してくれた人物でした。
彼のこういった人間味を感じる姿を見られなくなるのは、ひとりのラリーファンとして寂しさを感じますが、最後はサイコーーーっっに良い表情だったので、ベストなかたちで彼のキャリアが終わりを迎えられて本当に良かったと思います。
また別のかたちで、ラリーという競技にコントリビュートしてくれることを期待します。一時期のスバルチームに所属したルイス・モヤのようにならないかな、とか勝手に考えたり（笑）
その後、すぐさまポディウムフィニッシュへ走ろうとしたところへ、モンツァ・サーキットが牙を剥きました。数時間ごとに立ち入り禁止区間が変更され『あっちはダメ、こっちはもう通れない』の連続で、ポディウムはまさかのモニター越し（泣） ポディウム近辺は関係者以外立ち入り禁止で、観客はモニターで見守ることに……。
なんだか閉まりきらない終わり方になってしまいましたが、今回は“帰国イベント”があるため、ラリーが終わってもホッとしている暇はありません。空港に設置されている検査場から発行される陰性証明書では、日本に入国できないとの情報を頂き、一瞬で顔が真っ青に……。
ラリーの翌日は帰国に向けて、日本独自のPCR検査結果フォーマットに対応してくれるラボへ検査を受けに行きます。
早朝に宿をチェックアウトした後、朝のラッシュに捕まりながら2時間かけて、事前に予約していたベルガモ市内のラボへ。予約番号が呼び出されるまで外で待ちます。一度呼び出されれば、手続きから検査までものの15分で終了。要望どおりに、日本式フォーマットの陰性証明書を翌日にメールで送ってくれて、検査費に85ユーロ（約1万1000円）を徴収するだけの仕事をしてくれました。
検査を受けたこの日の夜便で一旦アテネへ飛びますが、それまでに少し時間の余裕があったため、ベルガモ北部にある城下町で最後の晩餐です。ほうれん草のニョッキとカボチャクリームソース。今回の旅でようやく「美味しい！」と言えるプロフェッショナルなお食事でございました。
サルーテ！
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■CHOCO CIDER
愛知県出身。フリーランス・グラフィックデザイナー。
2001年、兄がスバル・インプレッサWRX STIを購入したことがきっかけでWRCの存在を知り、WRCレビュー放送のヘビー視聴者に。初WRC観戦の2004年ラリー・ジャパンをきっかけに英会話の習得を開始。
2008年春、本場のWRC観戦を目的に渡英。ロンドンを拠点に年間4～8戦ヨーロッパラウンドを中心に観戦。2016年の帰国後も一年の半分近くをヨーロッパで過ごしながら、小型ミラーレスカメラSONY α6000とNEX-5Rを片手に年間4～5戦を奔走中。2021年、コロナ禍の影響で休止していた現地観戦を2年ぶりに再開する。
YouTube channel：https://www.youtube.com/channel/UC21tf9kvHs1yGU0pfsgVr6Q
