アルピーヌの36号車A424は、トップの51号車フェラーリから1周遅れていたため、レース再開後のSCラン中のパスアラウンドの対象外となった。マシュー・バキシビエールは次のように語った。「長い中断を伴うレースでのこの結果には満足しなければならない。残念ながら我々の戦略は少し違っていたため赤旗により1周のロスが発生し、その後挽回するのは非常に困難だった」
アルピーヌ・エンデュランス・チームを運営するシグナテックのフィリップ・シノー代表は、テスト中のクラッシュによって腰椎骨折し過去2レースを欠場していたフェルディナンド・ハプスブルクが、ル・マン24時間レースに先立って行われる次のテストでチームに復帰することを明らかにした。
プジョーのテクニカルディレクターであるオリビエ・ジャンソニも同様に、フランスのメーカーが来月開催されるル・マンまでの間に、非公開で2日間のテストを計画していることをレース後に明かした。
チームWRTは不運な“もらい事故”によってLMGT3で両方のクルマを失ったことに加え、ハイパーカークラスでは総合11位と13位という厳しいホームレースを経験した。BMW Mモータースポーツ・ディレクターのアンドレアス・ルースは、ベルギーのチームは「単純にミスが多すぎた」と指摘した。
もっとも注目すべきは、ラファエル・マルチェッロのピットレーン違反により15号車BMW MハイブリッドV8が30秒のストップ&ゴーペナルティを受けたことだ。WECが公表したスチュワードの文書には、スイス人ドライバーが「間違ったガレージに入り、ピットレーンでリバースギアを使用した」と記載されている。

■レクサスが初入賞を果たす
LMGT3クラスのランキングを確認すると、首位で第3戦にやってきたマンタイ・ピュアレクシング(92号車ポルシェ911 GT3 R)のアレクサンダー・マリキン/ジョエル・シュトーム/クラウス・バハラー組はスパで2位表彰台を獲得した後、チームWRTの両クルーやハート・オブ・レーシングチームがポイントを獲得できなかったのことが一層の助けとなり35ポイントという圧倒的なリードを築いた。
ユナイテッド・オートスポーツは、グレゴワール・ソーシー/ニコラス・コスタ/ジェームス・コッティンガム組(59号車マクラーレン720S GT3エボ)が4位となり、このクラスでのベストリザルト更新した。
姉妹車の95号車マクラーレンはジョシュ・ケイギルが予選2番手を獲得していたが、重量違反で後方グリッドに追いやられ、決勝では最終的にギアボックスのオイルが切れてリタイアに追い込まれた。
プロトン・コンペティションは、ジョルジオ・ローダ/ミッケル・O・ペダーセン/デニス・オルセン組がクラス8位でフィニッシュし、フォード・マスタングGT3によるこれまでの最高位を獲得した。
レギュラー2名を欠き宮田莉朋とクレメンス・シュミットを迎えたアコーディスASPチームの78号車レクサスRC F GT3は、代役のふたりとアーノルド・ロバンが10位に入り、チームに初のチャンピオンシップポイントをもたらした。
■9万人に迫る来場者数を記録
スパ6時間レースの完走車は全部で29台だった。これは2021年のバーレーン8時間レース以降でもっとも少ない数だ。当時のレースでスタートを切ったマシンはわずか31台だったが、先週末は37台がグリッドについていた。
WEC主催者の発表によると、スパ・フランコルシャンを訪れたファンの総数は3日間で8万8180人を数え、ル・マン24時間レース以外ではシリーズ新記録となり、前戦イモラで樹立されたこれまでのベンチマークである7万3600人を上回った。
しかし、混雑により周辺道路では最大3時間の大幅な遅れが発生した。フランコルシャン村からサーキットに向かう大通りで道路工事が行われていたことも影響した。

