⎯⎯このNLS第2戦の予選中にもピットストップの練習風景を何度も見掛けました。

SW「予選では(ダニエル・)ジュンカデラが第1ドライバーを務め、タイムを一気に上げてマージンを作り、予選中の残りの時間内でいろいろなことを試す時間にあてた」

SW「クラッシュが起き、ガードレールの修復のために長時間コード60やイエローフラッグが約30分の間に出ていたことで、ジュンカデラをそのまま走らせるのは時間的にもったいないと思い、マックスと(ジュール・)グーノンに交代させ、グランプリコースとピットインを何度も繰り返してピットストップ練習時間に当てたんだ」

SW「クラッシュしたドライバーやチームには気の毒だったが、その時間を活用してピットストップの流れをひと通り何セットも練習できたのは非常に良かったと思っている。セッション後にピットストップの練習をする手もあるが、実戦の中でそれができるとさらに状況を把握しやすくなるからね。数多くのマシンが一斉にピットインするタイミングには、自分のピットをすぐに見つけることさえ容易ではない」

SW「予選でふたたびコースがクリアになると、グーノンに続き最後はマックスがアタックしてポールポジションを獲得することができた」

⎯⎯24時間レースでフェルスタッペンと組むのは、ジュンカデラ、グーノン、アウアーの3名ですが、彼らをどう選出したのですか?

SW「マックスのチームメイトのラインアップは、マックスがNLSに参戦する前にGTWCヨーロッパ用のラインアップをメルセデスワークスの中で話し合っていた。従ってマックスがNLSと24時間レースに参戦するにあたり、すでに決定していたジュンカデラとグーノンに了承を得たというだけで、とくにマックスのために選りすぐりのメンバーを特別選考したわけではないんだ」

SW「そして、チームの4人目のドライバーとして(ルーカス・)アウアーを追加した。なぜアウアーを彼ら3名の中に加えたかというと、単純にドライビングスタイルや性格的に彼らとマッチすると考えたためだ」

マックス・フェルスタッペン(左)とステファン・ウェンドル(右:メルセデスAMGカスタマーレーシング部門責任者) 2026年NLS第2戦

⎯⎯フェルスタッペンのいつものレースのシチュエーションならば、彼ひとりのためにエンジニアやメカニックが動きます。しかし、GTレースでは彼は多くの部分で妥協をしなければならないシチュエーションもあるでしょう。

SW「そのとおり。だが、彼がどうそれに向き合ったかというと、驚くほどに冷静だった。彼はニュルのシムレーシング(DNLS)でレース活動もしていて、バーチャルレースの中ではあるが他のドライバーと組んでいて、すでに似たようなプロセスを過ごしている」

SW「マックスが充分な時間がない場合に、クリス・ルルハムといったシムレーシングのチームメイトがセッティングを担うのに慣れているマックスは、限られたごく短時間の中でそのセッティングに順応し、マシンを速く走らせるという術も得ている」

SW「今回の実戦のNLS2では、このトラックでの経験が豊富なジュンカデラやグーノンがセットアップについての提案もするが、もちろんマックスも自分の意見や希望もしっかりと発言するし、それは他のドライバーと同じように尊重される。最終的には担当エンジニアが彼らの意見やデータを精査したうえで決定しているよ」

⎯⎯マックスはその点では自分の意見だけを主張するようなエゴイストではない……ですよね?

SW「F1で4度の世界チャンピオンを勝ち取るのは、ドライバーのエゴなしでは成し遂げられないとは思うが、チームメイトと組んでいるマックスは互いを尊重しながら非常にうまくやっている。僚友やエンジニアと協力してさらに速く、クルマを良くしよう非常に貪欲だ」

SW「24時間レースを迎えるまでにチームとしてまだまだ課題が多くあるが、全員がマックスとの挑戦を心からエンジョイしている」

⎯⎯2025年はル・マン、ニュルブルクリンク、スパ・フランコルシャンのヨーロッパ三大24時間レースが3週連続で開催されるという非常にタイトなスケジュールでしたが、今年はそれぞれが離れていますね。

SW「昨年は本当に出場者、自動車メーカー、そしてファンにとっても非常に過酷なスケジュールで、このようなことは二度とあってはならないと思う。今年は幸いにもこれらの日程が離れていることもあり、私たちメルセデスAMG側でも本当に助かっている」

SW「マックスの参戦は、もちろん今年のニュル24時間レースのハイライトだが、激しく迫力のあるニュル24時間レースは、マックスが居る、居ないにかかわらず伝統として長年愛されているレースだけに、今年は彼が出場することでさらに数多くのファンがニュルへ応援に駆けつけると予想している。我々としても非常に楽しみにし、参加者とファンで多いに盛り上げていきたいと思っているんだ」

⎯⎯余談ですが、ピットの中では父のヨス・フェルスタッペンの姿もお見掛けしましたが、なにか仰っていましたか?

SW「ヨスはまだ一度もノルドシュライフェを自ら走ったことがないそうで、マックスの楽しそうな様子を見て『俺にも1周走らせてくれ』と言っていたよ」

* * * * * * *

 メルセデスAMGでのNLS/ニュル24時間参戦が実現した裏で、実は『フォード・マスタングGT3』でエントリーするHRT(ハウプト・レーシング・チーム)にも計画を打診していたと噂されるフェルスタッペン。もしもHRTと組んで参戦していたならば、同チームはヨコハマタイヤを装着することから、日本人ファンにとってはさらに応援したい気持ちが膨らんだのかもしれない。

3号車メルセデスAMG GT3エボに乗り込んだマックス・フェルスタッペン 2026年NLS第2戦

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