MORIZO Challenge Cup第8戦
第53回M.C.S.C.ラリーハイランドマスターズ2026 supported by カヤバ

最終SSまで続いた秒差の争い
米林慶晃の猛攻をしのぎ最上佳樹が今季2勝目

 10月16日(金)~18日(日)にかけて、2026年シーズン全日本ラリー選手権(JRC)第8戦『第53回M.C.S.C.ラリーハイランドマスターズ2026 supported by カヤバ』が、岐阜県高山市を拠点に開催されました。JN-3クラス内で展開されるMORIZO Challenge Cup(MCC)において、FIT-EASY Racingから参戦する、最上佳樹選手/小藤桂一選手が勝利を飾りました。

 今年で3年目を迎えるMCCは、若手ドライバーの育成とラリー競技の活性化を目的に、2024年からスタート。全日本ラリー選手権JN-3クラスの車両規定をベースに、改造範囲を狭めたGRヤリス/GRヤリスDATで腕を競い合う取り組みとして大きな注目を集めてきました。対象となるのは25歳以下(一部条件付きで28歳以下)の若手ドライバーで、2026年シーズンは全日本ラリー選手権全9戦において開催されます。また、全日本ラリー選手権とは別にMCC独自のポイントが付与され、1位から3位までの上位入賞者、最多SSトップタイム賞、最優秀女性ドライバー賞が表彰されます。

 2026年シーズンの全日本ラリー選手権は終盤戦を迎え、舞台はターマック(舗装路)へ。選手権屈指の歴史を誇るラリーハイランドマスターズのスペシャルステージ(SS・タイムアタック区間)は、山岳地帯のツイスティなターマック路が特徴となります。特に今年は道幅が狭い林道が多く、ステージによっては荒れた路面の区間がある上に、この時期は天候の変化が激しく、滑りやすい落ち葉などにも注意が必要です。

 今回、福島伊達を制しランキングトップに立った米林選手、逆転タイトルを狙う最上佳樹選手をはじめ、三枝聖弥選手、平川真子選手、山口航平選手、松原周勢選手、兼松由奈選手、岩堀巧選手、今橋彩佳選手、田部井翔大選手、伊藤はづき選手という11名がエントリー。ランキング2番手の奥井優介選手、ランキング3番手の長尾綱也選手は、今大会への参戦を見送っています。

今大会は11組のクルーが参戦。秋の気配を感じる高山で、白熱した接戦が繰り広げられた

 ドライコンディションとなったラリー初日、SS1を制した最上選手が首位に立ちました。SS2では米林選手が僅差のトップタイムをマークし、最上選手を追いかけます。このSSでは4番手につけていた山口選手がコースオフを喫し、立木に衝突。マシンのダメージが大きく、ラリー続行を断念しました。最上選手はSS3、サービスを挟んだSS4とSS6でもトップタイムを記録し、2番手米林選手に16.6秒差をつけて初日をトップで折り返しました。26.7秒差の3番手に松原選手、31.1秒差の4番手に三枝選手がつけています。

 最終日もコンディションはドライ。2番手の米林選手は、SS7からSS9まで3連続トップタイムをマークし、首位最上選手との差を一気に3.2秒まで縮めてみせました。米林選手の勢いは止まらず、SS10とSS11も制し、最終SSを前に最上選手との差を1.0秒とします。ところが、最終のSS12は最上選手が米林選手を4.7秒突き放すトップタイムを記録し、5.7秒差で首位の座を守り切りました。最上選手は第4戦久万高原以来となる、シーズン2勝目を挙げました。

 優勝まであと一歩届かなかった米林選手ですが、7本のトップタイムを記録し、最多SSトップタイム賞を手にしました。33.9秒差の3位に三枝選手、4番手につけていた松原選手がSS10でストップし、4位に岩堀選手が入りました。また、5位で完走した兼松選手が、最優秀女性ドライバー賞を獲得しています。

 第9戦は、2026年11月20日(金)~22日(日)に群馬県安中市を拠点として行われる『加勢裕二杯 モントレー 2026』です。碓氷峠の旧道を使用したSSなど、山岳ターマック林道を中心に競われます。昨年は6月の開催だったため、11月の開催でコンディションがどのように変化するのか、選手たちの対応力が試されます。“ラリーの聖地”群馬でフィナーレを迎える若手選手の力走にご注目ください。

モリゾウチャレンジカップ 2026全日本ラリー第8戦高山 ラリーレポート
昨年に続き、ハイランドマスターズで最優秀女性ドライバー賞を獲得した兼松由奈/山下秀組(大東建託 ロッソモデロ GRヤリスDAT)

■全日本ラリー選手権第7戦高山
MORIZO Challenge Cup最終結果

Pos.Driver&Co-DriverCarTime/Gap
1最上佳樹/小藤桂一FIT-EASY ZEALGRYARIS1h09’08.1
2米林慶晃/菅野総一郎KTMS NRS GRヤリス0’05.7
3三枝聖弥/木村裕介IMSF DL GRヤリス 初号機0’33.9
4岩堀巧/相原貴浩一六RACING GRヤリス1’53.3
5兼松由奈/山下秀大東建託 ロッソモデロ GRヤリスDAT2’46.3
6田部井翔大/安東貞敏CUSCO WM DL GRヤリス4’28.1
7今橋彩佳/槻島ももCUSCO tomica GRYARIS5’27.4
8伊藤はづき/鶴巻駿介WinmaX CUSCO GRヤリス35’01.6
R松原周勢/市橋真由子RECARO NRS GRヤリス―
R平川真子/冨本諒TGR-WRJ GR YARIS DAT―
R山口航平/春日美知子AQTEC-WolfDLGR Yaris―

●最上佳樹(MCC1位)
「最後は本当にギリギリの展開になりましたが、2勝目を獲得できました。初日は得意なSSでしっかり攻めて、危ない箇所は『獲られてもいい』という気持ちで走りました。最終日はミスをしないようにマージンを活かして走ることを考えましたが、SS7で米林選手に想定以上に差を詰められてしまいました。午後もホイールが割れてしまったり、色々なことがありましたが、なんとか逃げ切ることができました。JN-3クラスを制した山田(啓介)選手と一緒に、チームの地元で勝てたこともうれしいです」

●米林慶晃(MCC2位/最多SSトップタイム賞)
「最上選手が最終SSでマークしたスーパータイムは、今の自分では難しかったです。ペースノートが合わなかったり、1秒を覆すだけのペースで走ることができませんでした。それでも、ツイスティなSSを得意としている最上選手と、僅差の争いができたことは、自分としても評価しています。最終戦に向けて、とても自信を得ることができました」

●三枝聖弥(MCC3位)
「1日目は自分の中でセッティングを合わせ切れず、うまく走ることができませんでした。この段階でトップ勢から置いていかれてしまったんですが、2日目は仕様を変更したことで、それがうまくハマってくれました。結果的に3位にも入ることができました。今回、上位陣と変わらないタイムで走れたことは、自分としてもポジティブに捉えています」

●岩堀 巧(MCC4位)
「今回のラリーに向けて、準備が足りていませんでした。スタート時点で新しいクルマの走行距離が100km未満だったので、しっかり慣らしを終えておきたかったと考えています。準備期間がかなりあったので、もっとできることがあったはずです。それでも、このラリーを走り切ったことで、新しいクルマに関して、理解を深めることができました。これは今後に向けて、大きな収穫になりました」

●兼松由奈(MCC5位/最優秀女性ドライバー賞)
「これまでのラリーでモヤモヤしていたものが晴れて、2日間を通して気持ち良く走ることができました。ただ、トップとの差はかなりあります。本当はこの差を、1年をかけて縮めたかったんですが、悩み続けてしまいました。それでも、2日間をしっかり走り切ったことで、最上選手と比較できるデータを持ち帰ることができました。タイム差も含めて、さまざまな点を比較しながら、次のラリーに挑みたいです」

●田部井翔大(MCC6位)
「全体的に、クルマへの習熟度が足りていないと感じています。ハイランドマスターズを走るのは2回目ですが、タイムを比較すると、前回はデイ2で大きくタイムを落としていたのが、今回は集中力をしっかりキープして2日目を走ることができました。ただ、上位陣とのタイム差がかなりあるので、その差を詰める努力が必要だと感じています」

●今橋彩佳(MCC7位)
「今回はSS2で縁石に乗り上げてしまったり、パンクもあったので、そこから守りに入ってしまいました。そのまま、悪い流れを引きずってしまったことを反省しています。最終日は、前との差があったので、切り替えて、今まで試したことのないセットアップで走ったり、自分のドライビングに関しても良い発見がありました。今シーズンで一番得るものが多かったラリーになりました。MCCのトレーニングでは、フィンランドの講師のみなさんから、車載を見ながらアドバイスをいただいたうえで、次の走行ができます。闇雲に走り込むよりも、本当に貴重な機会をいただいていると感謝しています」

●伊藤はづき(MCC8位)
「初日、蜂に刺されるなど、想定外のアクシデントに見舞われて、デイリタイアすることになりました。痛みもあったので、医師と相談しながら、なんとか最後まで走り切ることができました。最終日は車高を変えてみたり、さまざまなセットアップで走れたことで、いくつかあった課題を解消することができました。収穫のあった、良いラリーになりました」

●松原周勢(リタイア)
「SS10で土手にマシンを乗り上げて、ラジエターを当ててしまいました。午前中は抑えすぎていたので、少しだけブレーキングを遅らせたことがミスにつながりました。午前中のペナルティを取り返そうと、踏んでいってしまった結果だと考えています。それでも、今回のラリーではすごく良いフィーリングを得ることができました。この感覚を次のラリーに向けていかにブラッシュアップできるかが鍵になるはずです」

●平川真子(リタイア)
「最終日の朝の段階でリタイアとなりました。初日のSS1からブレーキの調子が悪く、お昼のサービスで変更したんですが、根本的な原因解決になりませんでした。午後のセクションはスロー走行していてもクルマの挙動がおかしく、ブレーキだけでなく駆動系にも問題がありそうだったので、ラリー続行を断念しました。福島でも同じような状況に見舞われていましたし、最終戦に向けてチームの皆さんとしっかりと原因を究明したいと考えています」

●山口航平(リタイア)
「SS2の後半の右コーナーにオーバースピードで進入してしまい、コースオフから立木にぶつかってしまいました。今回のラリーに向けてセッティングを変えたことで、SS1はすごく走りやすく、悪くないタイムを記録できていました。良いフィーリングで走っていただけに、自分のミスでラリーを終えることになってしまい、本当に悔しいです」

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